東都名所 両国回向院境内全図(とうとめいしょ えこういんけいだいぜんず)
歌川広重(うたがわひろしげ)(初代)画 天保13年(1842) 東京誌料 587-C8

 回向院の本堂の右側に見えるよしず張りの巨大な建物が相撲小屋です。表門の外に立てられた相撲櫓(やぐら)から打ち鳴らされる櫓太鼓の音によって、江戸の人々は勧進相撲の始まりを知ることができました。


 回向院は、明暦3年(1657)に起きた大火事(明暦の大火)で亡くなった人々を供養するために建立された寺院ですが、多くの江戸の人々にとって回向院を訪れる目的の一つが、勧進相撲を見ることでした。
 回向院の境内で、初めて勧進相撲が行われたのは天明5年(1785)のことでした。天保4年(1833)からは、境内に設けられたよしず張りの仮設小屋で毎年春秋の2回開催され、江戸相撲の常設場所となりました。この頃から春と秋は江戸、夏は京都、秋は大坂という、三都において年に4回勧進相撲が開催されるというサイクルが確定したようです。
 明治42年(1909)、境内の北側に国技館(大正時代に焼失)が竣工されるまで、江戸相撲は回向院で行われました。

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