勧進大相撲土俵入之図(かんじんずもうどひょういりのず)
歌川国芳(うたがわくによし)画  東京誌料 587-C38-1

 嘉永2年(1849)11月に両国の回向院で開催された本場所を描いた錦絵です。大関・剣山(つるぎさん)以下東方の力士が土俵入りを済ませ、代わって西方の力士が土俵に上がろうとしている場面を描いています。


 『東都名所 両国回向院境内全図』は外側から回向院の相撲小屋を描いた作品ですが、この『勧進大相撲土俵入之図』は、回向院の相撲小屋の内部を描いた作品です。2つの作品を見ることで、江戸時代の相撲小屋の全体の様子を知ることができるでしょう。
 画面中央には土俵が描かれ、屋根を四本の柱で支えています。この四本柱は、昭和27年(1952)に取り外されましたが、もともとは青龍(青)、朱雀(赤)、白虎(白)、玄武(黒)の四神を表したもので、それぞれを示す色が使われていました。しかし、この絵からは土俵の四本柱が江戸時代は朱色1色であったことがわかります。

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