[相撲取組之図(すもうとりくみのず)
勝川春章(かつかわしゅんしょう)画 [天明2・3年](1782・1783)刊 東京誌料 587-C40

 両国回向院境内で興行された相撲の取り組みの様子を描いたものと思われます。谷川梶之助、小野川喜三郎など寛政期(1789~1800)を代表する力士たちが写実的な似顔絵で描かれています。


 勝川春章は、後に葛飾北斎も師事した勝川派の始祖として有名な、江戸時代を代表する浮世絵師の一人です。役者似顔絵を普及させた功績者であるとともに、数多くの相撲絵も描き残しています。
 この絵に描かれた谷風、小野川、そして雷電という3人の力士の活躍によって、天明~寛政期(1781~1800)にかけて江戸の大相撲は黄金期を迎えます。なかでも谷風梶之助は仙台藩(宮城県)お抱えの力士として、寛政元年(1789)11月、小野川とともに、吉田司家から最初の横綱免許を授与された人物です。その強さだけでなく、人望も集め、色白・切れ長の目で柔和な容貌が多くの観客を魅了したと言われています。

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