初商出世双六(はつあきないしゅっせすごろく)
小三馬 (こさんば)作 歌川国輝(うたがわくにてる) 画 安政元年(1854)刊 東京誌料 07516-S1

 戯作者・式亭三馬が創業し、没後は息子の小三馬が継いだ化粧品店の商品一覧を双六化したものです。値段も併記してあり、七福神が描かれていることから、宣伝をかねた正月用の配りものと思われます。


 式亭三馬は、江戸時代後期に流行した滑稽本の代表作『浮世風呂』 『浮世床』の作者として有名な人物ですが、彼は日本橋に化粧品を扱う小間物屋を開き、大いに繁盛させていたと言われています。
 三馬は自身の作品の中で、登場人物に自分の店の商品を使わせて、美人になったというような宣伝文句を巧みに織り込みました。なかでも最も売れた商品が化粧水「江戸の水」です。紹介した双六の最上段の一番右にその名を見ることができます。
 「江戸の水」は白粉がはげず、化粧がよくのるとして人気を集めました。庶民の女性まで化粧をするようになったのは、世界的にみても、江戸の女性が最初だったとも言われています。

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