たばこや源七実ハ坂田の蔵人 沢村宗十郎(たばこやげんしちじつはさかたのくろうど さわむらそうじゅうろう)
歌川豊国(うたがわとよくに)(初代)画 文化9年(1812)刊 東京誌料 M237-9-1(1)
この作品は文化9年(1812)、市村座の顔見世興行で上演された近松門左衛門作『嫗山姥(こもちやまんば)』の一場面です。
今なお続く歌舞伎の名家・沢村宗十郎が主人公の坂田蔵人を演じています。
江戸っ子のファッションのモデルとなったのが、このような歌舞伎役者の衣装です。しかもその姿は安価で手に入りやすい役者絵として売り出されたため、すぐに庶民の間に広まっていきました。
歌舞伎から流行したファッションには助六が頭に巻いている鉢巻の色である「江戸紫」、市川団十郎がよく用いた「鎌」の絵と「輪」と「ぬ」を組み合わせた「かまわぬ」の模様などがあります。現在でもよく見ることができる市松模様は、佐野川市松という役者が舞台で着ていた衣装に由来しています。