[白木屋(しろきや)
歌川国貞(うたがわくにさだ)(初代)画 天保年間(1830~1844)刊 東京誌料 0421-C72

 越後屋(現・三越百貨店)、大丸(現・大丸百貨店)と並び、江戸三大呉服店の一つとも言われた白木屋の軒先を描いた錦絵です。日本橋周辺は多くは京都や伊勢、松坂に本店を持つ呉服屋、木綿店が軒を連ねる江戸のファッション街でした。


 京都の小間物・呉服問屋として知られていた白木屋が、江戸の日本橋通3丁目に進出してきたのは寛文2年(1662)のことでした。
 創業者・大村彦太郎は近江(滋賀県)の人で、もとは材木商でしたが、煙管などを扱う小間物問屋を開業、その後呉服や木綿も扱うようになり、徐々に商売を拡大し、江戸に支店を開いたと言われています。最盛期には市谷、富沢町、馬喰町にも店を構え、日本橋の店では150人もの人が働いていました。
 白木屋のもう一つの名物が、二代目彦太郎が掘った井戸から湧き出た水です。日本橋周辺の水は塩分を多く含み、良質の水が少なかったこともあり、この井戸水は「白木名水」と呼ばれ、広く知れ渡ったということです。

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