大江戸しばゐねんぢうぎやうじ 風聞きゝ(おおえどしばいねんじゅうぎょうじ ふうぶんきき)
安達吟光 (あだちぎんこう)画 明治30年(1897)刊 東京誌料 577-10-6

 江戸三座の一つ市村座の前に出ていた蕎麦の屋台の様子を描いた作品です。「二八」の由来は、代金が2×8=16文であったため、または小麦粉と蕎麦粉の割合が2対8であったためとも言われています。


 安達吟光が描いた『大江戸芝居年中行事』は、芝居町であった猿若町(台東区浅草6丁目あたり)の芝居風俗を描いた26枚組の作品です。画題にある「風聞きき」とは、芝居が終わった後の小屋の前で、今見たばかりの芝居について話し合う観客の話を、興行者に伝える人のことです。この観客の批評を聞いて興行者は芝居の筋立てを訂正することもあったようです。
 絵には二八そばの屋台の横で、丼を手に持っている人の姿があります。この男性が食べているのは、今でいうかけそばのようなものですが、絵のように丼に入れたそばにつゆをいれるという食べ方が始まったのは江戸時代中期のことのことでした。

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