御料理献立競(おりょうりこんだてくらべ)
  加賀文庫 加4240

 江戸市中の本格的な料理屋を網羅した番付です。勧進元には当時、高級料理屋として多くの文人たちに愛された「八百善」こと「八百屋善四郎」の名前を見ることができます。


 文化・文政期(1804~1830)以降、当時の江戸の食文化を知ることのできる番付が数多く刊行されています。この番付もその一つで、東の筆頭は大音寺(台東区竜泉)前にあった仕出し料理で有名な田川屋、西の筆頭は橋場(台東区)にあった料亭・川口となっています。橋場は隅田川沿いの風流な場所として大名や豪商の別荘も多く、料亭も数多くあったようです。
 行司の中央に「かやは丁 伊勢太」とあります。これは茅場町薬師前(墨田区江東橋あたり)にあった料理屋・伊勢屋太兵衛の店のことです。もともと住吉神社(中央区佃)の参拝客に新酒のつまみとして出していた佃煮に工夫を凝らして江戸の名物としたのがこの店です。

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