寺子屋の教科書 ①庭訓往来寺子宝(ていきんおうらいてらこだから) ②塵劫記九九水(じんこうきくくのみず) ③小野篁歌字尽大全(おののたかむらうたじづくしたいぜん)
①文政2年(1819)刊 ③嘉永3年(1850)刊 ①東京誌料 3921-11 ②東京誌料 396-5 ③東京誌料 3924-48
寺子屋での教育方法は現在とは大きく異なり、読み書きを教えることが基本です。その教科書には農民の子どもは農民に必要な知識を、商人の子どもは商人としての必要な知識を学ぶためのものを使います。寺子屋等で使われた教科書を総称して「往来物」と言います。
基礎的な教養や習字の習得のために寺子屋でよく使われていたのが往来物の一種で「庭訓往来」と呼ばれた教科書です。室町時代に成立した当初は貴族や武士、僧侶の子弟の教育に使用されていましたが、江戸時代になると庶民のための教科書として最も普及したと言われています。
また、漢字の学習用として江戸時代初期に成立し、江戸時代を通して版を重ねるほど人気があったのが『小野篁歌字尽大全』です。偏や旁(つくり)の共通する漢字(「椿榎楸柊桐」など)が並べられ、それらをまとめて覚える歌(「はるつばきなつはえのきにあきひさぎ、ふゆはひひらぎおなじくはきり」)が添えてあります。
算術の入門書として有名なのが『塵劫記』です。作者は江戸初期の京都の和算家・吉田光由(よしだみつよし)で、九九の掛算や米や材木の売り買い、金銀の両替の方法ほか、ねずみ算などの計算方法が図とともに紹介されています。