梅尽吉例双六(うめづくしきちれいすごろく)
英一蜒 (はなぶさいっちょう)画 明和2年(1765)刊 東京誌料 5259-S16

 「俳諧一枚摺」と呼ばれる俳諧関係の摺物です。多くは俳人同士の間で配られました。絵が加えられていることが多く、本作品も双六の形式をとり、趣向が凝らされたたいへんおもしろい仕上がりになっています。


 画面左に「春興」という文字があります。春興とは、俳諧の仲間が新年の会を催し、その作品を冊子または一枚物に摺って知友間の贈答としたものです。
 本作は明和2年(1765)、江戸中期に活躍した俳人・石寿観秀国(せきじゅかんしゅうこく 1711~1796)を中心とする江戸座俳諧の人々が提出した春興を双六仕立にしたものです。この時のお題は梅であったらしく、梅の異名「好文木」を振出しに梅尽しの29コマからなっています。
 江戸座とは、芭蕉の没後、門人である宝井其角(たからいきかく)(1661~1707)を中心とした洒落と機知とを主とする句を作った俳諧の流派の一つです。

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