江戸御城之絵図(えどおしろのえず)(重要文化財「江戸城造営関係資料」)
大棟梁甲良若狭(だいとうりょうこうらわかさ)控  東京誌料 6151-2

 本丸・西丸・二丸・紅葉山など吹上を除く江戸城内郭のほぼ全域を描いた図です。堀・土手・表御殿・大奥御殿を彩色で色分けしてあり、江戸城の様子を詳しく知ることができます。


 江戸幕府には、建設を担当する役所として作事方および小普請方、土木担当の普請方がありました。甲良家は、初代宗廣(1574~1646)から十一代棟隆(生年不明~1910)まで作事方の大棟梁を勤めた家柄で、江戸城・寛永寺・日光東照宮など幕府直轄の建築工事の大部分に携わり、図面の取調、設計、仕様や積算をし、職人の手配を行いました。
 奥書には「大棟梁 甲良若狭扣」(だいとうりょう こうらわかさひかえ)とありますが、甲良家で若狭を名乗ったのは、享保20年(1735)に没した棟利、明治11年に没した棟全、同43年に没した棟隆の三人であるため、この図の若狭は棟利、つまり18世紀初期の城内を描いた図と考えられています。

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