奥奉公出世双六(おくぼうこうしゅっせすごろく)
歌川豊国(うたがわとよくに)(三代)画 弘化元年(1844)刊 東京誌料 377-S10

 奥務めの女性の出世を題材とした双六です。各マスには様々な奥仕えの身分や役職が描かれています。双六とはいえ、大奥における役職や役目について詳しく知ることのできる、たいへんおもしろい資料です。


 江戸時代の女性にとって大奥はあこがれの場所でもありました。この双六は「お目見え」「御はした」などの下働きから、「御仲居(おなかい)」や「御末」(おすえ)などを経て、「部屋子(へやご)」「呉服間(ごふくのま)」「御三の間(おさんのま)」「御次(おつぎ)」などになります。一番上の身分は「中臈(ちゅうろう)」「御部屋様」(将軍の子をなした中臈)「老女(ろうじょ)」「御側(おそば)」です。ここに出世するまで、実に様々な役職・役目があることがわかります。
 江戸時代は身分制社会です。「御三家」や「御三卿」の家に生まれないかぎり将軍になることはできませんが、女性ならば武士の家に生まれなくとも将軍の母になる可能性はあるかもしれないという江戸時代の女性の夢物語を描いているのかも知れません。
 このような双六を「出世双六」と呼び、江戸時代から明治時代にかけて多種多様な出世双六が刊行されました。

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