東京築地鉄砲洲景(とうきょうつきじてっぽうずけい)
歌川国輝(うたがわくにてる)(二代)画 明治2年(1869)刊 東京誌料 0422-C7ア

 築地居留地一帯の様子を細かく描写した6枚続の錦絵です。居留地内にはホテルを始めとして、税関にあたる事務所や住宅、外国人目当ての日本人商店、さらには遊廓もあったことがわかります。


 明治元年(1868)、東京は外国人に向け、開市しました。当初の予想に反して、築地居留地は、あまり発達しませんでしたが、明治5年(1872)の大火後も教会・学校・病院などが次々と建てられ、東京への欧米文化輸入の入口として、文明開化の先端を行く地域であり、市民に与えた影響は非常に大きいものがありました。
 本図からは、海を背景に右側に築地ホテル館、中央に外国人居留地があって、日本、アメリカ、ロシア、フランスなど15ヶ国の国旗がひるがえり、左側には新島原遊廓があります。下段には、外国人と日本商人、芸者などの、内外語チャンポンの日常会話も加えてあります。

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