東京銀座要路煉瓦石造真図(とうきょうぎんざようろれんがいしづくりしんず)
歌川国輝(うたがわくにてる)(二代)画 明治6年(1873)刊 東京誌料 0422-C23ア

 文明開化の諸相を描いた錦絵は、写真が一般に普及するまでの明治の世相を今に伝えるこの上ない資料と言えます。この銀座通りの煉瓦街を描いた錦絵も新しい時代の雰囲気をよく伝えています。


 銀座の町の建設が始まったのは明治5年(1872)のことですが、この絵にあるように翌6年には、現在の銀座通りが完成します。西洋の都市を手本にして拡張・舗装された道路、火災にも負けないように木造を禁止して建てられた煉瓦建築、江戸時代にはなかった目新しい町並みが人々の前に姿を現したのです。
 2階に見えるバルコニーもこれまでになかった風景です。江戸の町において原則的に2階建ての町人の住居は禁止されていました。そのため、中2階構造を取る商家もありましたが、格子がある程度でした。このように2階から堂々と通りを眺めることができるようになったのも「御一新」のおかげと言えるかもしれません。

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