[大江戸鳥瞰図(おおえどちょうかんず)
 鍬形蕙林(くわがたけいりん)画 東京誌料 025-D1

 町々の火見櫓(ひのみやぐら)や市中の賑わいを、江戸城東の方向から見おろした図です。川筋や海岸線も含めて江戸の町並みがどのようなものであったのかを知ることができます。


 この鳥瞰図の作者・蕙林は鍬形蕙斎(くわがたけいさい)の孫にあたる人物です。蕙斎は浮世絵師から津山藩(岡山県)のお抱え絵師になったというめずらしい経歴を持ち、鳥瞰図を得意としていました。蕙斎は「大江戸鳥瞰図」や「江戸一目図屏風」といった江戸の鳥瞰図を多く残していますが、蕙林が描いたこの図も、祖父の影響を色濃く受けたものと言えるでしょう。
 鳥瞰図とは、鳥が空から地表を見たように描いた図のことです。このような描き方が流行したのは、遠近法が取り入れられるようになった江戸時代後期以降のことです。

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