新添江戸之図(しんてんえどのず)
明暦3年(1657)刊 東京誌料 A17-1ア
江戸時代初期の江戸の町の様子を知ることのできる絵図です。通常、江戸図は西を上にしていますが、この図は、上が浅草、下が芝、右が海、左が青山とあるように、縦長で、北を上にしている点に特徴があります。
江戸時代初期の江戸の町の範囲は、現在の東京都千代田区とその周辺地域という限られた空間であり、江戸城の外堀はこれを取り囲むように建造されました。しかしその後の人口増加により徐々に町自体が広がっていきます。
題名にある「新添」とは、西南方面を新しく添えたという意味です。江戸の町が広がっていたことを題名からも知ることができます。
なお、奥書の刊行年月は、「明暦3年正月吉辰」となっていますが、作図完了はそれより2、3ヶ月前の明暦2年(1656)と思われます。明暦3年(1657)正月に明暦の大火が起こっているので、この「新添江戸之図」は大火直前の江戸市街を知る貴重な絵図です。