関東類焼大地震(かんとうるいしょうおおじしん)
[安政2年(1855)]刊 東京誌料 0277-C56
安政2年(1855)10月2日の夜10時頃に江戸を襲った大地震を描いた瓦版(「読売」ともいう)です。この地震により、死者は7000人を超えたと言われています。
安政期(1854~1860)は、日本各地で大地震が次々と起きた時期ですが、とくに江戸の町にとって安政2年(1855)の地震がもたらした被害は大きなものでした。
そのため、震災直後の大混乱が一応おさまると、江戸では焼失地域や被害情況を記した数百種類を超える簡単な刷物が大量に発行されました。その趣向も様々で、見立番付、鎖文字、百人一首、はやり歌など、当時の戯文形式を総動員して、地震後の世相を知らせる作品群が生み出されました。
その多くは画工名も出版の検印もない即製です。災害後の混乱の中、人々がいかに情報を求めていたかをうかがい知ることができます。この絵もそのような瓦版の一つで、右側に被災者救済のための小屋の場所、各町ごとの被害情況を記しています。