英一蝶十二カ月の内 正月(はなぶさいっちょうじゅうにかげつのうち しょうがつ)
英一蝶(はなぶさいっちょう)画  東京誌料 0753-C1

 同じく正月2日の町の風景を描いた作品です。ひっそりとした元日と違い、通りには子供たちが出歩き、画面左に見えるように家々には万歳や獅子舞など門付芸人がやってきます。


 作者である英一蝶は、江戸時代中期を代表する画家です。狩野派の画風を受け継ぎながらも、市井の風俗を数多く描き、その絵は人々に愛されました。その作風は本図からも見てとることができます。
 門付とは、人家の門前に立って音曲を奏するなどの芸を行う人々のことで、新春の風物詩でもありました。正月の門付芸としては獅子舞、万歳、太神楽、鳥追いなどが挙げられます。本図には載っていませんが、とくに獅子舞は、舞いに曲芸や道化の要素をプラスしたストーリー性のあるもので、笛や太鼓とともに賑やかに正月気分を盛り上げた江戸の娯楽でした。

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