江戸名所百人美女 十軒店(えどめいしょひゃくにんびじょ じっけんだな)
歌川豊国(うたがわとよくに)(三代)、歌川国久(うたがわくにひさ)(二代)画 安政5年(1858)刊 東京誌料 025-C1-13

 内裏雛(だいりびな)の前で雛人形の冠を手に持つ女性、コマ絵(枠内の絵)には十軒店の風景を描いています。十軒店には三月の桃の節句には、内裏雛や禿人形(かむろにんぎょう)、五月の端午の節句には、甲人形(かぶとにんぎょう)や鯉のぼりを売る店が立ち並んでいました。


 十軒店は現在の中央区日本橋室町にあった町で、地名の由来は、仮設のお店が通りの両側に10軒立ち並んでいたためと言われています。
 江戸では雛人形を商う雛市が、尾張町や浅草茅町、駒込などにも立ったそうですが、一番盛況だったのが十軒店でした。
 明和年間(1764~1772)頃、十軒店の人形師・原舟月が作ったのが古今雛です。この古今雛が、現代の雛人形につながったと言われています。幕府はあまりにも豪華な雛人形を禁止するほど、江戸時代には様々な雛人形が作られました。

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