江戸名所四季の詠 御殿山花見之図(えどめいしょしきのながめ ごてんやまはなみのず)
歌川広重(うたがわひろしげ)(初代)画 弘化4年(1847)~嘉永元年(1848)頃刊 東京誌料 0511-C63

 江戸時代の桜の名所・御殿山(現・品川区北品川あたり)の風景を描いた作品です。御殿山は寛文(1661~1673)の頃から桜が移植されたと伝えられます。


 御殿山の地名の由来は、太田道灌が屋形を構えていたためとも、徳川家康が建立したと伝えられる品川御殿があったためとも言われています。歴代将軍の鷹狩の休息所として、また幕府重臣を招いての茶会の場としても利用されていました。
 江戸っ子たちが好んだ桜の名所の五大名所としてよく挙げられるのが御殿山のほか、隅田川堤、上野山、そして郊外にはなりますが王子の飛鳥山と小金井の5ヶ所です。江戸時代の桜の名所の特徴は、自然でなく、人工的に植樹され作り上げられた名所だということです。とはいえ、もともと何もなかった場所ではなく、遊覧の地が整備されて桜の名所となっていきました。

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