江戸新吉原八朔白無垢の図(えどしんよしわらはっさくしろむくのず)
歌川国貞(うたがわくにさだ)(初代)画 文政5年(1822)~文政6年(1823)頃刊 東京誌料 0791-C17
八朔(8月1日)は徳川家康の江戸入府の日とされることから、江戸時代にはもっとも重んじられていた行事でした。
毎年8月1日、江戸城では八朔の儀式が行われました。この日は天正18年(1590)に初めて徳川家康が江戸に入府した日とされ、幕府にとって重要な日でした。五つ時(午前7~8時頃)には大名諸侯が白帷子(しろかたびら)に長袴で将軍を待ちます。将軍も、同じく白帷子に長袴姿で諸大名や旗本たちに御目見(おめみえ)します。つまり白帷子は「八朔」のシンボルでした。
庶民の間でこの日何か特別な行事が行われていたわけではありませんが、吉原では、武家社会をまねて八朔を大々的に祝う風習があり、この日の遊女はみな白無垢を着て、メインストリートの仲の町で花魁(おいらん)道中を行いました。