[三題咄高座新作](さんだいばなしこうざのしんさく)
落合芳幾(おちあいよしいく)画 文久3年(1863)刊 新収資料 和-別39

 落語の三題噺から歌舞伎に書下ろされた、通称、「髪結藤次」という演目の錦絵です。


 歌舞伎の狂言作者として有名な二代目河竹新七(かわたけしんしち、のちの黙阿弥)は、粋狂連に所属する名人でした。彼が「国姓爺(こくせんや)・乳貰い・髪結」という題で自作自演した三題噺を、四代目市川小団次(いちかわこだんじ)の要望によって歌舞伎に仕立て、文久3年(1863)2月に江戸市村座で初演されました。配役は、髪結和国橋の藤次に小団次、平野屋幸次郎に二代目沢村訥升(さわむらとっしょう)、巾着切竹門の虎に二代目市村家橘(いちむらかきつ)でした。
この時、新七へ粋狂・興笑両連から引幕が贈られましたが、これは狂言作者として異例の名誉であり、演劇史上でも特筆すべきことでした。
三題噺は、落語から歌舞伎や戯作など他の芸能へも話題を提供し、幕末・明治時代初期の文学にも影響を与えました。

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