千代田之御表 蹴鞠(ちよだのおんおもて けまり)
楊洲周延(ようしゅうちかのぶ)画 明治30年(1897)刊 東京誌料 614-C1-27
蹴鞠(けまり)は、「鞠足(まりあし)」と呼ばれる8名の競技者が、革製の鞠を地面に落とさないように蹴り上げ、その回数や動作の優美さを競う遊びです。
元々は公家の遊びでしたが、鎌倉、室町時代になると武家の間にも流行し、江戸城でも白書院の中庭で蹴鞠が催されました。蹴鞠の競技場は「懸(かかり)」や「鞠場(まりば)」と呼ばれ、七間(約12.7m)四方の庭の、北東に桜、南東に柳、南西に楓(かえで)、北西に松と、季節を表す4種の「式木(しきぼく)」が立てられました。この絵には桜と柳が描かれていますが、実際は江戸城では4本とも松の木が用いられました。