横浜海岸鉄道蒸気車図(よこはまかいがんじょうきしゃず)
歌川広重(うたがわひろしげ)(三代)画 明治7年(1874)刊か 東京誌料 723-C7

 開業後の鉄道蒸気車と海上に浮かぶ各国の蒸気船が見え、横浜らしい文明開化の情景が描かれています。画面右側の蒸気車の車両には「中等」という文字が書かれており、車両に等級があったことがわかります。


 一寒村であった横浜は、安政6年(1859)の開港を契機に日本を代表する貿易都市となります。変貌する港の景観や蒸気船、異人たち、舶来品などを描く「横浜絵」(横浜浮世絵)が登場し、万延元年(1860)と文久元年(1861)の2年間に最も盛んに描かれました。明治に入り、世間の関心は新都市東京へと移り変わり、「横浜絵」に代わって新しい世相を写した「開化絵」が現れます。明治5年(1872)に新橋駅と横浜駅(現在の桜木町)との間に開通した鉄道は、浮世絵の題材として好まれ、横浜の情景を描いたものも多数出版されました。

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