五衣色染分 黄(いつつぎぬいろのそめわけ き)
歌川国貞(うたがわくにさだ)(初代)画 嘉永4年(1851)刊 東京誌料 K1021-3-2

 「五衣色染分」は、「青」「赤」「黄」「白」「黒」の5色に、それぞれ美人を当てはめて描いたものです。「黄」には、浄瑠璃・歌舞伎の演目「恋娘昔八丈(こいむすめむかしはちじょう)」のお駒が描かれています。


 お駒が着ているのは、黄色地に縞模様の「黄八丈(きはちじょう)」の着物です。黄八丈は、黄色、樺色、黒色の3色を基調とした絹織物で、伊豆諸島の八丈島で生産されたことからその呼び名がつきました。将軍家に献上され、江戸中期頃までは、上級武家しか着ることができませんでした。安永4年(1775)、黄八丈の小袖を着たお熊と忠七の密通事件を題材にした浄瑠璃「恋娘昔八丈」が江戸で人気を呼び、ヒロインのお駒が着た黄八丈は、若い娘に大流行しました。

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