名所江戸百景 大てんま町木綿店 (めいしょえどひゃっけい おおでんまちょうもめんだな)
歌川広重(うたがわひろしげ)(初代)画 安政5年(1858)刊 東京誌料 0421-C13ア

 大伝馬町は木綿問屋街として発展し、木綿問屋が軒を並べており、木綿店(もめんだな)と呼ばれました。


 手前から田端屋(たばたや)、升屋(ますや)、嶋屋(しまや)の暖簾が見えます。わずかに田端屋の暖簾が開いており、反物が高く積まれている店先の様子がうかがわれます。
 一つの屋根の下に数件の同じ造りの店が軒を連ねる「長屋形式」は、大伝馬町独特のもので、屋根の上に設けた防火用に雨水を溜めておく天水桶の囲いや白壁の防火壁などが特徴です。
 元禄(1688~1704)の頃には、大伝馬町一丁目に大小さまざまな木綿問屋70軒余りが店を構えていました。この木綿問屋の大店は、ほとんどが伊勢商人で占められており、大伝馬町の街並みは「伊勢店(いせだな)」とも呼ばれました。伊勢や三河は古くから綿織物の産地として知られ、特に松坂木綿は全国でも最上の銘柄とされていました。

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