新吉原細見 毎月改(しんよしわらさいけん まいつきあらため)
天明4年(1784)刊 新収資料 和1400
初代・蔦屋重三郎が出版した吉原細見です。
吉原細見は、廓(くるわ)内の略図や、遊女たちの名前を絵図のように紹介した吉原の案内書です。吉原で生まれ育った重三郎は、交流のあった朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)や四方赤良(よものあから)(大田南畝)など当時の一流文化人を序文や跋文の執筆者に迎えたり、判型を大きくして丁数を減らし価格を押さえたりする工夫を行いました。そのかいもあって、吉原細見は天明3年(1783)から蔦屋の独占的出版となりました。本書にも四方山人(よもさんじん)(赤良)の跋文があります。
序に見える「花柳羅主門河岸 文祇」は洒落本の作者の一人ではないかとされています。吉原が全焼した天明4年(1784)4月より後の7月に発行されており、まだ吉原の地に再築できていない妓楼も多い、仮宅(かりたく)細見です。店名の上の道にあたる部分に「両国元まち」「浅草三バン丁」など仮営業所のある町名が見られます。