丸の内のビルディング街の朝は、深い沼の底のような静けさのうちに明けて行きます。この静けさも、併し、一時間後には完全に破られて、ビルディングの窓は悉く明け放されて、火花を散らすような大活動が開始されます。そして夜、世間はまだ宵の賑やかさにいる頃、こゝはもう人影もまばらに寂しい沈黙に還るのであります。
詳細(TOKYOアーカイブ)