1. 是は御ぞんじのばけ物にて御座候
羽川珍重稿 村田屋版
函21-16
赤本とは、丹色の表紙をかけた初期の草双紙で、宝永から享保頃(1704-1736)に行われたと推定されている。主に幼童向けといわれ、題材はお伽話物がよく知られているが、祝儀物、合戦物、演劇物などかなり広い。
題簽に三つ目の化け物が描かれた本書は、甲子待の夜のお伽話から始まる。「ももんが」に人気があつまるのを快く思わない見越入道が、猫や狸、河童などの様々な化け物を集めて、ももんが一統と相対する。左端に見える毛皮のマントをかぶったような化け物がももんがである。登場する化け物の姿が皆ユーモラスでほほえましい。
現在残っている赤本は数が少なく、本書も原型をとどめている貴重な一冊である。