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趣味人・加賀豊三郎

※下線付きの資料タイトルをクリックすると「TOKYOアーカイブ」画面又は拡大画像が開きます。

加賀豊三郎の蔵書印 「翠渓」
(『新耽奇会圖録』 第5冊)

かが とよさぶろう の ぞうしょいん すいけい
しんたんきかい ずろく だい ごさつ

写 1冊(12冊のうち) 加賀文庫1468-5

【画像】加賀豊三郎の蔵書印 「翠渓」(『新耽奇会圖録』 第5冊)

同 「洗雲亭」
(『竹田翁尺牘』)

どう せんうんてい
ちくでんおう せきとく

刊 1軸 加賀文庫2175

【画像】同 「洗雲亭」(『竹田翁尺牘』)

 都立中央図書館特別文庫室では、大阪出身の実業家加賀豊三郎(かがとよさぶろう)(1872-1944)(号:翠渓〈すいけい〉)の旧蔵書約24,100点を「加賀文庫」として所蔵しています。加賀文庫は特に江戸後期文芸周辺の分野では、質、量ともに国内有数のコレクションとして知られ、昭和19年(1945)に都立中央図書館の前身である日比谷図書館が、民間所蔵の貴重図書を疎開させようと買い上げを行った際、その1番目に購入されています。

〔尾崎紅葉の加賀豊三郎宛書翰〕 (『紅葉山人書翰』)

おざき こうよう の かが とよさぶろう あて しょかん こうよう さんじん しょかん

写 1帖 加賀文庫10919

【画像】〔尾崎紅葉の加賀豊三郎宛書翰〕 (『紅葉山人書翰』)

 証券業の世界で活躍した豊三郎は、古典籍や美術品の収集、茶道や庭園など、多方面に関心を寄せた趣味人でした。浮世絵研究者渋井清(しぶいきよし)(1899-1992)は生前の豊三郎を、趣味豊富な「本場の関西の旦那衆」で、「根っからの江戸の庶民趣味の人」であったと回想しています。麹町の純日本風の居宅は、交流のあった尾崎紅葉(1867-1903)に「洗雲亭(せんうんてい)」と命名され、文庫には、豊三郎宛の書簡や、紅葉関係資料が多く残されています。(19.0×74.0cm)

「第4回出品目録」 昭和3年11月23日 (『新耽奇会圖録』 第4冊)

だい よんかい しゅっぴん もくろく しょうわ さんねん じゅういちがつ にじゅうさんにち しんたんきかい ずろく だい よんさつ

写 1冊(12冊のうち) 加賀文庫1468-4

【画像】「第4回出品目録」 昭和3年11月23日 (『新耽奇会圖録』 第4冊)

 大阪時代から古書交換会や入札会に参加していた豊三郎は、明治39年(1906)考古に関する器物や書画を持ち寄り語り合う、文人・趣味家の会「集古会(しゅうこかい)」に林若樹(はやしわかき)(1875-1939)の紹介によって入会します。昭和3年(1928)から11年(1936)にかけ、林若樹、内田魯庵(うちだろあん)(1868-1929)、三村清三郎(みむらせいざぶろう)(1876-1953)、木村仙秀(きむらせんしゅう)(生没年不詳)らの集古会のメンバーとともに、文政期(1818-1830)の「耽奇会(たんきかい)」(「屋代弘賢の硯」※3参照)に倣い「新耽奇会」と名付けられた、珍奇な文物を展観する会合を結成し、活動します。その多くが洗雲亭を会場として開催され、その際の手描きの図録『新耽奇会圖録』12冊(請求記号:加1468)が残されています。(28.0×19.7cm)

「蒹葭堂遺愛礦物貝類標本 附 日本石譜、和漢名石集 加賀翠渓」 出品 昭和3年11月23日 於洗雲亭開催 (『新耽奇会圖録』 第4冊)

けんかどう いあい こうぶつ かいるい ひょうほん つけたり にほん せきふ わかん めいせきしゅう かが すいけい しゅっぴん しょうわ さんねん じゅういちがつ にじゅうさんにち せんうんてい に おいて かいさい しんたんきかい ずろく だい よんさつ

写 1冊(12冊のうち) 加賀文庫1468-4

【画像】「蒹葭堂遺愛礦物貝類標本 附 日本石譜、和漢名石集 加賀翠渓」1

【画像】「蒹葭堂遺愛礦物貝類標本 附 日本石譜、和漢名石集 加賀翠渓」2

 また同時期に、自身の蔵書の中から資料を選んで『洗雲亭藏書目』(せんうんていぞうしょもく)」(請求記号:加12390)という目録を作成して知人に配布しています。昭和12年(1937)には、蔵書中の名家自筆本36部から抄出し、当時最高の木版印刷技術で復刻した図録『洗雲亭清賞(せんうんていせいしょう)』(請求記号:加101ほか)を作成、出版します。装丁までこだわったこの本の題簽を担当したのは文筆家市島春城(いちしましゅんじょう)(1860-1944)で、豊三郎とは特に深い親交がありました。
 明治、大正、昭和にわたる時代の変遷と、周辺の人物との交流が、コレクションの形成やさまざまな貼込帖の作成に影響を与え、深く関わっています。

※江戸中期の博物学者木村蒹葭堂(きむらけんかどう)(1736-1802)自筆『日本石譜』(請求記号:加1476)は『洗雲亭清賞』に収載され、同自筆『和漢名石集』(請求記号:加3257)、「蒹葭堂遺愛礦物貝類標本」(『木村蒹葭堂貝石標本』)(請求記号:加1468附録)ともに、木村仙秀による解説で言及される。

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主な参考文献

【図書】

タイトル / 編著 / 出版社 / 出版年 等 請求記号
資料コード
洗雲亭清賞 / 加賀豊三郎[編] / 加賀豊三郎 / 1937 加101/1
1170140001
新耽奇会図録 / 加賀翠渓編集 / 吉川弘文館 / 1998.10 J450/5/7-1
1128676529
新耽奇漫録 新耽奇会展-奇想天外コレクション / [早稲田大学坪内博士記念演劇博物館編] / 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 / 2013.10
383.9/5185/2013
7103887551
「新耽奇会展-奇想天外コレクション」出品目録 / 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館編 / 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 / 2013.10 383.9/5186/2013
7103887598

【雑誌記事】

論文名 / 著者 / 掲載誌 巻号 / 出版社 / 出版年 / 掲載ページ 等 資料コード
加賀文庫特集 / ひびや 3巻 11・12号 通巻35号 / 東京都立中央図書館 / 1961.3 / p.3-15 7103412817
加賀豊三郎研究ノート / 吉田昭子著 / 日本古書通信 63巻 3号 通巻824号 / 1998.3 / p.2-6 3302056250
加賀豊三郎研究ノート(2)加賀文庫形成の軌跡 / 吉田昭子著 /日本古書通信 68巻 1号 通巻882号 / 2003.1 / p.6-8 5005955082
加賀豊三郎研究ノート(その2)加賀文庫形成の軌跡 / 吉田昭子著 / 日本古書通信 68巻 2号 通巻883号 / 2003.2 / p.16-18 5006426210

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