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マッチラベルの魅力

マッチラベルの魅力とは

 明治8年(1875)に日本で初めてマッチの生産が開始されました。以後、マッチ産業は発展を遂げ、明治から大正初期にかけて、日本は世界でも有数のマッチ輸出国でした。趣味としてのマッチラベルの蒐集は明治末期に始まったと言われています。意匠を凝らしたマッチラベルの蒐集を趣味とする愛好家は多く、特別文庫室でもいくつかの貼込帖を所蔵しています。

マッチペーパー蒐集帖

まっちぺーぱー しゅうしゅうちょう

加賀文庫 加4229

【画像】マッチペーパー蒐集帖

 この貼込帖は全部で43冊にのぼり、横長の和綴じの冊子を開くと、多種多様なデザインのマッチラベルが貼り込まれています。加賀文庫では、ほかにもマッチラベルの貼込帖として、『燐寸ペーパー集』(加4230)や『大阪兵庫摺附木製造商標見本』(加4227)、『燐寸票』(加4228)を所蔵しています。また、特別買上文庫でも、山田嘉穂(よしほ)旧蔵資料として『マッチペーパー蒐集帖』(特5372)を所蔵しており、こちらも33冊という量があります。(19×24.8cm)

1 国内販売用

 マッチラベルは、製造会社が販売したマッチ箱のラベルと、飲食店等の店舗が広告宣伝用に無料で配布したマッチ箱のラベルとに大別されます。販売用は、さらに国内販売用と海外輸出用に分けることができます。この貼込帖に貼られているラベルは、主に広告用のラベルですが、販売用も含まれています。

桃 大同燐寸株式會社

(請求記号:加4229-30)

【画像】桃 大同燐寸株式會社

拡大図

羽鹿 神戸東洋燐寸會社

(請求記号:加4229-20)

【画像】羽鹿 神戸東洋燐寸會社

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馬 東洋燐寸株式會社

(請求記号:加4229-20)

【画像】馬 東洋燐寸株式會社

拡大図

 国内販売用マッチのラベルには、縁起物や動物、人物、神話などをはじめ、あらゆるものをモチーフにした図案が見られます。桃印や馬印のように、製造会社が変わっても現在まで引き継がれているお馴染みの図案もあります。(ラベル 短辺3.5×長辺5.5cm)

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2 海外輸出用

 明治10年(1877)頃からは国産マッチの輸出も行われました。マッチはアジア諸国に多く輸出され、中でも中国は主要な輸出先でした。しかし中国での国内製造が本格化すると需要は低下し、日本のマッチ輸出量は大正8年(1919)をピークに減少していきます。

中国向けラベル

(請求記号:加4229-20)

【画像】中国向けラベル

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インド向けラベル

(請求記号:加4229-20)

【画像】インド向けラベル

拡大図

 輸出用ラベルは、日本的な要素に加え、輸出先の好みが反映され、独特なデザインが生み出されました。中国向けのラベルには、吉祥に通じるモチーフが多く用いられています。インド向けのラベルでは、マハトマ・ガンジーのような著名な人物やヒンドゥー教の神話をモチーフにした図案が見られます。(ラベル 短辺3〜3.5cm 長辺4.5〜5.5cm)

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3 広告用

 広告宣伝用のマッチは明治の頃からありましたが、輸出用マッチの需要の低下や、都市型の消費文化が花開いた時代背景もあり、大正末期から昭和初期にかけて盛んになっていきました。短辺約3.5cm、長辺約5.5cmという小さなラベルですが、デザイン性に富んだものも多く、今でも色あせない魅力を持っています。しかしライターが登場すると、マッチは次第に衰退していきました。この貼込帖は、比較的同じ業種のラベルがまとまって貼られています。いくつかご紹介します。

ダンスホール

(請求記号:加4229-5)

 「九段ダンスホール」「銀座ダンスホール」「国華」「東横会館」など、ダンスホールのラベル。躍る男女やドレス姿の女性を描いた図案が見られます。ダンスホールは、ダンサーが有料で社交ダンスの相手をする遊戯場で、日本では大正7年(1918)に登場しました。昭和前期に最盛期を迎え、多くのダンスホールが建てられましたが、戦時下の昭和15年(1940)に閉鎖命令が下り、廃業に追い込まれていきました。

麻雀

(請求記号:加4229-5)

 麻雀クラブのラベル。麻雀牌が描かれているラベルが多いですが、ほかにも動物や人物など、各店工夫を凝らした図案が描かれています。中国を起原とするゲームである麻雀が日本に伝わったのは、明治末頃と言われています。多くの人に広がり始めたのは大正末頃からで、昭和初期には大ブームが起き、各地で麻雀クラブが作られました。

理髪店

(請求記号:加4229-5)

 理髪店のラベル。サインポールと呼ばれる特徴的な細長い円柱形の看板や男女をデザインしている図案がある一方で、絵は一切なく、「衛生完備!技術本位!親切叮嚀!」と文字のみでアピールしているラベルもあります。「毛染アイロン」「スタイルは御調髪から」などのキャッチコピーが記されています。

劇場、映画館

(請求記号:加4229-5)

 劇場や映画館のラベル。新橋演舞場で行われた宝塚少女歌劇のラベルが数枚貼られています。武蔵野館のラベルは映画「市街」の予告で、「ゲーリー・クーパー主演」「近日公開」とあります。「市街」の公開年から、昭和6年(1931)のラベルと思われます。その横には日本映画「恋の花咲く 伊豆の踊子」のラベルが貼られています。公開年から、昭和8年(1933)のラベルと思われます。

フルーツパーラー

(請求記号:加4229-5)

 フルーツパーラーのラベル。果物の図案が多く用いられています。黒地にみかんの絵が描かれた「千疋屋」のラベルが2枚ありますが、1枚は絵の中に「開店」と記されています。「銀座伊東屋地階」と所在地が記されていますので、昭和5年(1930)に銀座伊東屋ビルに出店した時のラベルだと思われます。千疋屋総本店の社史によると、このフルーツパーラーは広さ120坪のアールデコ調の店で、当時大きな話題を呼んだということです。

タクシー、ガソリンスタンド

(請求記号:加4229-5)

 タクシー会社やガソリンスタンドのラベル。日本初のタクシー会社が設立されたのは、明治45年(1912)と言われています。大正末頃になると、市内料金が1円均一という料金システムの一円タクシー(円タク)が大阪に現れ、やがて東京はじめ全国に広まりました。貼込帖にも、「濱町一円タクシー」「高級車使用円タク サクラタクシー」「一円均一 丸福タクシー」などのラベルが見られます。

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主な参考文献

【図書】

タイトル / 編著 / 出版社 / 出版年 等 請求記号
資料コード
マッチ 魔法の着火具モダンなラベル / たばこと塩の博物館 / [2019] D/575.8/5004/2019
7112020389
マッチラベル博物館 近代日本のグラフィズム / 加藤豊監修・解説 / 東方出版 / 2004.11 727.0/5105/2004
5010175636
燐寸図案 / 北原 照久コレクション / マガジンハウス / 1994.8 5758/3003/94
1127524021
社交ダンスと日本人 / 永井良和/著 / 晶文社 / 1991.8 7990/3003/91
1124659216
サムライ弁蔵水くわし売り出し百七十五年 千疋屋総本店史 / [千疋屋総本店編] / 千疋屋総本店 / 2009.1 673.7/5443/2009
7103533394
日本のタクシー自動車史 / 佐々木 烈/著 / 三樹書房 / 2017.12 685.5/5137/2017
7109784435

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