第21期協議会提言1概要はこちら(平成15年3月提言) 「子どもの読書活動推進をはかるために都立図書館は何をすべきか」
一.はじめに
1.子どもの読書活動推進をとりまく状況について
- 80年代の読者離れと現在の読書離れ
80年代の読者離れは、メディアとしての「本」の相対的低下であったが、現在の読書離れは、「読む」という活動が充分に進められないことを意味する。 - 子どもの読書活動推進をめぐる動き
国際子ども図書館の開館、「子ども読書活動の推進に関する法律」の施行、国と都の子ども読書活動推進計画の策定 - 本提言がめざすもの
都立図書館が子どもの読書活動推進に果たすべき役割を具体的に示すもの。
2.検討の視点
「行為としての読書」を重視し、都立図書館の機能と役割を具体的に提示する。
二.読書活動の意義と環境
1.読書活動の意義
- 「ことば」の獲得において読書がはたす役割
ことばの獲得は、保護者や周囲の人々から子どもに伝えられるものである。豊かなことばの獲得は、大人の読書の豊かさによるところが大きい。子どもの読書は、前の世代や周囲の人々の読書の問題である。 - 「読書」の概念を広くとらえる
一つは、「本」を読むことだけでなく、多種多様なメディアの情報を「読みとること」、もう一つは教養娯楽のための「通読としての読書」だけでなく、調べ、確認する「参照すること」をも読書としてとらえる。
2.読書環境の整備
子どもがおかれている環境・状況に読書活動が左右されてはならない。また、子どもの好みに応じた読書の形態や利用のメディアに配慮する。
三.都立図書館は何をなすべきか
1.子どもの読書活動の拠点としての役割
- 研究センター機能
子どもの読書活動を支える図書館サービスいう視点から、読書についての研究を行い、この成果のもとに、図書館サービスを組み立て、活動の実践を支えていく。
活動内容:実態調査、事例収集、情報提供・発信、実証的研究、理論的研究 - 資料センター機能
多様な利用者、用途へ配慮した資料の収集と提供、資料の製作発信を行う。 - サービスセンター機能
- 蓄積をいかした高度なサービス:情報活用講座の実施、調べ方リーフレットの作成と配布
- 新しいサービスの企画と実験的試行:学校との連携協力のもとでの教員支援のモデル実施
2.都内図書館の振興と援助
- 人材育成
都内公立図書館の読書活動推進担当職員研修、市民ボランティア養成担当職員研修 - 広報啓発事業の拡充
3.関係団体との連携協力事業
- 学校・学校図書館への直接的支援
司書教諭研修への支援、学校図書館経営支援、広報活動の連携協力、情報提供支援 - 区市町村立図書館を通しての学校・学校図書館支援
- 他機関・諸団体との連携協力事業
子どもに対する事業を行う東京都の機関や民間団体との連携協力と読書活動推進に向けた組織作り