東京マガジンバンク講演会「今日もていねいに-編集長が語る『暮らしの手帳』の今-」
2014年1月26日
「東京マガジンバンク」講演会「今日きょうもていねいに‐編集長が語る『暮しの手帖』の今‐」を開催しました。講師は『暮しの手帖』編集長でエッセイストの松浦弥太郎氏です。編集長となった経緯や『暮しの手帖』に対する思い、ていねいな暮しや仕事への向き合い方についてお話しいただきました。講演前に講師への質問を募集し、それに対する回答も講演内容に盛り込んでいただきました。
講演とあわせて、関連資料の展示を行いました。
展示資料のリストを掲載しますので、ぜひご覧ください。
講演会会場の様子
日時
平成26年1月26日(日) 午後2時から午後4時まで
会場
東京都多摩教育センター ホール
講師
松浦 弥太郎(まつうら やたろう)氏
『暮しの手帖』編集長、エッセイスト
内容
『暮しの手帖』のこと
編集長になったきっかけ
2006年2月から4月にかけて世田谷文学館で「花森安治と『暮しの手帖』展」が行われ、そこでトークショーをしたことが縁で編集長を頼まれた。外部の人間が突然編集長になり、編集部スタッフは戸惑うかもしれないが、「命をかけて『暮しの手帖』を作るので信じてください」と伝えた。
これからの『暮しの手帖』の方針
『暮しの手帖』を変えようと思ったことはない。『暮しの手帖』は古い家のようなもので、自分の役割はほこりをかぶっているところや輝きを失っているところを整理し磨き上げることだ。今まで自分たちが大切にしてきたものを、未来に向けて使えるように磨き直していく。売ろうとするよりも、作り手の声が読者の心に届くように雑誌を作りたい。100万部売れていたときとは時代が違うため、毎日試行錯誤しながら作っている。
質問に答えて
日々のコンディションの整え方
24時間365日『暮しの手帖』のことを考えるてはいるが、行き詰ったときは少しでも違うことをするのがよい。ストレス発散のためにいろいろと試してみたが、一番良かったのは走ることだった。倒れるくらい走ると、自分の中の余計なことが消えていき、悩みが軽くなった。そのように気持ちのバランスをとることで、仕事に集中できるのだと思う。
ていねいな暮しや仕事への向き合い方
感謝の気持ちを大切にしている。今の自分がいるのも、自分だけでなく周りの人のおかげが大きい。『暮しの手帖』もその1ページが人を幸せにできるのか、最後の最後まで気を抜かずに見直している。1分1秒の大事なポイントで心がこめられるか、いつも100%は難しいが、最後まで力を抜かずに見続けている。
『暮しの手帖』は誰に向けて作られているか
生活の実用書のため30代40代の女性を読者の中心と考えているが、家族全員で読んでほしい。お母さんが読んで、娘が読んで、最後にお父さんが読むというように、家族で回し読みをして全員で読める雑誌にしたい。自分が子供のころ祖母の家にあった『暮しの手帖』を読んでいた経験から、家族みんなで読める雑誌になっていけるのではないかと思う。
最後に
わかちあえる気持ちや感謝の気持ちを大切にしてほしい。嫌なことがあっても、たった一つの幸せが豊かな気持ちにさせてくれる。『暮しの手帖』の1ページがそうなればうれしい。
講師 松浦弥太郎氏
会場の様子
講演会の様子
展示資料
展示資料
展示資料
参加者の声
- 感謝の気持ちを忘れずに、というお言葉が印象に残りました。たいへん素晴しい講演でした。ありがとうございました。
- 松浦さんの正直なお話がきけてうれしかったです。今後の生き方の参考になるお言葉もたくさん聞くことができました。
- 将来のことについて、あれこれ悩んでいる今、松浦さんの仕事観が聞けて本当に良かったです。
- 一つ一つの言葉を大切に選んで丁寧に誠実に話してくださっていると感じた。本だけでは分からない松浦さんの品格、お人柄が伝わってきました。
展示資料リスト
松浦氏の著作や影響を受けた図書等約180冊と『暮しの手帖』のバックナンバーを展示しました。
(画像をクリックするとPDF形式(327KB)が開きます)