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東京マガジンバンク講演会「地図で読む新幹線」当日の様子

2014年12月 7日

「東京マガジンバンク」講演会「地図で読む新幹線―東海道新幹線開業 50周年―」を開催しました。講師は(一財)日本地図センター客員研究員で地図研究家の今尾恵介氏です。開業50周年を迎える東海道新幹線を題材に、新幹線の歴史や地図を用いた路線解説、知られざる名所などについてお話しいただきました。
また、講演とあわせて講師の著書等の展示を行いました。
当日のパワーポイント資料と展示資料リストを掲載しますので、ぜひご覧ください。

講演会会場の様子

講演会会場の様子

1.日時

平成26年12月7日(日) 午後2時から午後4時まで

2.会場

東京都多摩教育センター ホール

3.講師

今尾 恵介(いまお けいすけ)氏((一財)日本地図センター客員研究員、地図研究家)

4.内容紹介(お話しいただいたことの一端を紹介します。)

今年は東海道新幹線50周年、東京駅100周年となる、日本の鉄道にとって記念すべき年です。『世界最速「車窓案内」』という本を執筆するために、何度も乗車して往復するという取材をしました。東海道新幹線の路線である東京〜新大阪間は日本が凝縮されている景色であり、日本という国を象徴している区間です。

東海道本線の輸送力不足により、戦時中に高速新線「弾丸列車」の建設が計画されました。東海道新幹線は「弾丸列車」計画で買収した土地や一部区間ルートを利用することにより、昭和39年10月1日に開業しました。工期はわずか5年半でした。
東海道新幹線のデータを見ると、開業当時よりも駅数が増え、所要時間も短縮、最高速度も上がっています。山陽新幹線と比べるとトンネルが少なく、全体の13%であり、車窓を眺めるのに適しています。東海道新幹線は在来線より各所で近道しているため、距離は東海道本線の93%に短縮されました。
東海道新幹線の線路規格は軌間が1,435mm、本線路の最小曲線半径を原則として2,500m、本線路最急勾配を1,000分の15(1キロ以内なら20まで)としています。本線での例外としては熱海駅付近。ここには異例の半径1,500mのカーブがあり、「のぞみ」も減速します。他の特例としては東京〜品川間で、ここは東海道線の線増用地を利用したため屈曲しており、細かなカーブが続いています。名古屋付近、新大阪付近にも例外的な急カーブがやむを得ず入りました。
開業当時のダイヤでは一日上下合わせてわずか60本。当初「ひかり」は京都を通過する予定でしたが、観光などを考えて止まるようになりました。新横浜も一部「ひかり」が止まるようになり、現在では全ての「のぞみ」が止まります。現在は上下約290本に達していますが、新幹線の輸送量はとても多く、ヨーロッパの人に言うと、「桁が一つ間違っているのでは」と驚かれるほどです。新幹線は車体の幅も広く、在来線と全く違うシステムとして導入されました。これが当時としては画期的なことだったのです。

著書の『世界最速「車窓案内」』には、全区間分の線路の両側キロ幅を25,000分の1地形図で掲載し、さらに目標物を書き込んで取材した手描きのイラストマップを併せて載せました。これを見ながら各区間をご紹介しましょう。
先行して建設された神奈川県小田原市の「鴨宮(かものみや)モデル線区」は弾丸列車用地として先に取得済みの区間で、そのため「新幹線発祥の地」と言われています。新幹線はおおむね東海道本線と並行して建設されましたが、地形や地質条件によっては両者が離れている区間もあります。たとえば愛鷹(あしたか)山の麓では地質の関係で北へ迂回しています。また小田原〜三島間は山がちの地形のためトンネルの割合が非常に多くなりました。在来線の丹那(たんな)トンネルは水没、落盤が起き、途中で関東大震災と北伊豆地震に遭遇するなど大変な難工事でしたが、すぐ北側を並行して掘られた新幹線の新丹那トンネルはその教訓を生かして期間は短く済ませています。
岐阜羽島(ぎふはしま)を通過すると「最急勾配」区間となり、関ヶ原付近で最高地点173.8m。駅としては米原(まいばら)駅がもっとも高い地点にあります。米原〜京都間は駅間距離が最も長い区間で、滋賀県内は緩いカーブが目立ちます。旧草津川では在来線と東海道新幹線で越え方が異なっており、在来線はトンネル、東海道新幹線は橋梁となっています。

東海道新幹線の知られざる名所として7か所紹介します。

  1. 静岡〜用宗(もちむね)間に見える「左富士」
  2. 神奈川県中郡にある50m級の短いトンネルを3連続通過する第1〜第3根柄見(ねがらみ)トンネル
  3. 呑川(のみがわ)付近に都内で1か所だけ見える畑
  4. 静岡県函南(かんなみ)町にある「新幹線」という地名
  5. 東海道新幹線の「ひかり」にちなむ国分寺市光町
  6. 三河安城(みかわあんじょう)〜幸田(こうだ)にある16kmの東海道新幹線最長直線区間
  7. 複雑な経緯をたどった日本坂トンネル

です。

リニア中央新幹線計画が進んでいますが、莫大な建設費、過大な需要予測、フォッサマグナなどの大破砕帯(だいはさいたい)へのトンネル掘削リスク、新幹線よりはるかに大きな電力消費量といった多くの問題を抱えています。東京〜名古屋間でリニア中央新幹線が開通したときのシミュレーションを試みたところ、たとえば東京の御茶ノ水から大阪の心斎橋まで移動するのに、実際に短縮される時間は20分から25分程度でした。これから人口も減少していくため、工事費に見合った需要がリニア中央新幹線にあるのかは疑問です。

東海道新幹線が開業したのは、これから人口が増加し産業が成長していく良いタイミングでした。新幹線は見事に成功し、これが世界の鉄道関係者を勇気づけました。しかし人口減少が少なくとも数十年は続く時代を迎えた今、新たにリニアのような互換性のないインフラを追加することではなく、現存の優良な交通機関-「国民の宝」である東海道新幹線を次世代に向けて維持していくことこそが、国民の利益につながると思います。

講師「今尾恵介氏」

講師 今尾恵介氏

開演前の会場の様子

開演前の会場の様子

展示資料

展示資料

5.参加者の声

  • 新幹線について、実にいろいろな見方があるものだと感心させられた。
  • 縦断面図のお話がとっても興味深かった。車両の改良で騒音が改善されるという話も良かった。
  • 地形図とからめて鉄軌道の話をきいたのははじめてだったので、大変興味深くおもしろかったです。

6.当日のパワーポイント資料

今尾氏よりご提供いただきました。

当日のパワーポイント資料

画像をクリックすると当日のパワーポイント資料が開きます。(PDF形式 4,044KB)

7.展示資料リスト

今尾恵介氏の著書や記事が掲載された雑誌、約110冊を展示しました。

展示資料リスト

画像をクリックすると展示資料リストが開きます。(PDF形式 166KB)

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