【イベントレポート】「こどもの日トークイベント「図書室で暮らしたい」ふたりの話」を開催しました。
2023年5月30日
5月5日のこどもの日にトークイベント「「図書室で暮らしたい」ふたりの話」を開催しました。トークイベントの内容や参加者の声をご紹介します。
日時
2023年5月5日(金・祝) 午後2時から3時30分まで
会場
東京都立中央図書館 4階 多目的ホール
講師
尾木 直樹(おぎ なおき)さん(名誉館長)
教育評論家、法政大学名誉教授。中学校、高校、大学の教員として、合計44年間教壇に立つ。愛称は尾木ママ。令和5年4月1日から都立図書館名誉館長。
辻村 深月(つじむら みづき)さん(作家)
平成16年『冷たい校舎の時は止まる』でデビュー。『ツナグ』吉川英治文学新人賞、『鍵のない夢を見る』直木賞、『かがみの孤城』本屋大賞など作品多数。
当日の様子
「図書室で暮らしたい」ほど本が大好きなおふたりに、子どもの頃に読んだ思い出の本や影響を受けた本、読書の楽しみ、図書室や図書館の魅力などについて、応募の際にお寄せいただいた質問等にも答えながら、90分にわたりお話しいただきました。
当日は壇上に小さな書棚を設置し、都立図書館に所蔵する本の中からおふたりの思い出深い本などを、エピソードを交えて何冊かご紹介いただきました。年代の違うおふたりですが、学校の図書室で偉人伝や伝記をたくさん読んでいたという共通項があったり、司書の存在が読書の世界を広げてくれたといったお話もあったりと、子ども時代に学校の図書室や地域の図書館で過ごした豊かな読書の時間が、今の仕事にも繋がり、大いに役立っているそうです。
また、参加者の「読書が大好きな娘が国語の成績が悪い。関連しないのか?」という質問には、読書量と国語の成績は必ずしも比例しないこと、読書は国語の成績を上げるためにするものではないこと、読書を通じて心が動く体験や得たさまざまな知識等はいつか必ず役にたつことなど、お二人の経験を踏まえた説得力のあるお話に、参加者の皆さんも一生懸命メモを取りながら聞いていらっしゃいました。
また近年、子どもの読書離れが叫ばれています。子どもの頃から一人一台スマホやタブレットを持つ時代に、どうすれば子どもたちに読書の楽しさを伝えていけるのか、という質問に対しては、思春期の子どもは「親が薦める本」は読まないもの、読書を強制しないこと、読ませたい本があったらわざと隠してみたり、「読んじゃダメ」と言ってみると、子どもは逆に気になって背徳感とともに手を出したくなるもの、といったユニークなアイデアも教えて下さいました。
最後に、辻村さんの代表作のひとつである『かがみの孤城』にまつわる裏話をはじめ、小説の書き方、作品のアイデアはどんな時に生まれるのか、登場人物の心情描写は自身の経験をもとにしているのか、執筆はいつしているのか、といった愛読者ならではの質問にもお答え頂きました。普段なかなか聞くことの出来ない貴重なお話ばかりで、改めて辻村さんの本を読み返したくなるような素敵なエピソードが満載でした。
この他にも、電子書籍の話や、教育や子育てにまつわる話など、本や読書を軸にさまざまなところへ話が及び、あっという間の90分でした。
当日は「こどもの日」の祝日ということもあって、子どもたちにも多くご参加いただきました。このイベントに参加するまで都立図書館を知らなかったという方も多かったのですが、これを機に、都立図書館で興味関心のおもむくままに、たくさんの本と出合ってもらえたらと思います。
都立図書館では今後もさまざまなイベントを予定しています。ぜひご参加ください。
参加者の声(アンケートより抜粋)
(小中学生の方から)
- 「朝読書」の時間が僕の学校でも無くなってしまった時があり、読書の時間が取りづらくなってしまったので、今後はまた読書をしようと思いました。
- 聞いていて、すごく共感できるお話がいっぱいで、とくに最初の思い出の本の紹介では、自分のお気に入りの本もあってすごく楽しかったです。
- 「おかあさんがきめる本じゃなくてじぶんでえらんだほうがいい」というお話が心にのこっています。
(高校生以上の方から)
- 本とのつき合い方から、人間関係、学校生活のことまで尾木先生・辻村先生のこれまでどのように感じてきたのかを知ることができ、勇気をもらえました。ありがとうございました。
- こんなに近くで素晴らしいおふたりのお話が聞けるなんて感激です。深く深くうなずいてしまいました。一生忘れません。今日はありがとうございました。
- 辻村先生の本への愛情や本気度が伝わってきて、面白く聴きました。
トークイベントで使用した本
トークイベントでは、尾木先生と辻村先生から事前に思い出の本を教えていただき、そのうち、都立図書館で所蔵している本をステージ上に並べました。イベント終了後、参加者の皆様には、これらの本を自由にご覧いただく時間を設けました。
本の詳細は、リストをご参照ください。