【イベントレポート】トークイベントin都立多摩図書館「ゾロリの生き方 〜諦めないヒーローのひみつ〜」を開催しました。
2024年5月16日
3月24日にトークイベントin都立多摩図書館「ゾロリの生き方 〜諦めないヒーローのひみつ〜」を開催しました。トークイベントの内容や参加者の声をご紹介します。
日時
2024年3月24日(日) 午後2時から3時30分まで
会場
東京都立多摩図書館 2階セミナールーム
講師
尾木 直樹(おぎ なおき)さん(名誉館長)
教育評論家、法政大学名誉教授。中学校、高校、大学の教員として、合計44年間教壇に立つ。愛称は尾木ママ。令和5年4月1日から都立図書館名誉館長。
原 ゆたか(はら ゆたか)さん(児童書作家)
20歳でイラストレーターとしてデビュー。1974年KFSコンテスト・講談社児童部門賞受賞。1987年から書き始めた「かいけつゾロリ」シリーズ(ポプラ社)は全国の子どもたちに大人気でテレビアニメ化・映画化もされた。
当日の様子
当日は、原ゆたかさんの子どもの頃のお話や、「かいけつゾロリ」を書くことになったきっかけなどについて伺いました。
原さんは、子どものころから絵を描くのが好きで、新聞紙に墨で絵を描いている写真が残っているとのことでした。チラシの裏にマンガなどもたくさん描かれていたそうです。小学校5、6年生の頃には怪獣映画を作ることに熱中し、粘土で怪獣を作ったり、お線香を工場の煙突に見立てたりしながら、どうやって次のシーンを撮影するか工夫を重ねていたそうで、こうした経験が、ゾロリが追い込まれた時にどうするかというアイデアに繋がっているとのことです。
「かいけつゾロリ」シリーズを書くことになったのは、挿絵画家として、みづしま志穂先生の『ほうれんそうマン』シリーズの挿絵を描いていたところ、みづしま先生がお休みになられ、次の作品が出るまでの間にほうれんそうマンの敵であるゾロリでお話が書けないか、という提案を出版社からいただいたことがきっかけだったそうです。
今回のテーマであるゾロリの生き方に関しては、原さんは、「ゾロリは、どんな困難があっても、何度失敗してもあきらめません。私たちが生きていく中でも、試練は誰にでもやってきます。それをどう乗り越えていくかが人生。どんな仕事にも大変な部分があるが、面白い部分にぶつかるまでやってみることが大切」と伝えていました。
尾木さんからも、高校時代、友人への体罰に抗議したら赤点をつけられ単位が足りずに留年、その頃図書館に籠って本を読み漁っていたことが今に活きていること。教師になったのは、就職で悩んでいた時、お母様から「学校の先生に恵まれず、沢山嫌な思いをしてきたからこそ、つらい思いをしている子どもたちに寄り添える良い先生になれるよ」とアドバイスされたことがきっかけだったことなど、ご自身の体験を交えてピンチをチャンスに変える大切さをお話されていました。
また、お二人からは、好きなことを見つけてとことん探究していってほしいこと、臆することなく様々な事にチャレンジしてほしいこと、諦めないでやり続けること、たくさん失敗したっていいんだよ!という心強いメッセージをいただきました。
当日は参加者から寄せられた質問にもお答えいただきました。「どうしていつまでも面白い話が書けるんですか?」という子どもからの質問に原さんは、自分が子どもの頃に楽しかったことをおぼえていて、自分が今小学生だったら読みたいというお話を書いているから子どもたちに面白いと感じてもらえるのではないかと話されていました。また、大人になっても子どもの頃と同じようにおもちゃや漫画を楽しんでいたので、子どもたちの目線で本を描くことができてきたのかもしれないとのお話もありました。
イベントの中では実際に原ゆたかさんがゾロリやイシシ、ノシシのイラストを描くところを実演してくださり、子どもたちはキャラクターが生き生きと描き出されていく様子を熱心に見つめていました。
また、会場内ではゾロリシリーズをはじめとした原さんの著作が展示され、多くの方が本を手に取って読む姿が見られました。
都立図書館では今後もさまざまなイベントを予定しています。ぜひご参加ください。
参加者の声(アンケートより抜粋)
(小中学生の方から)
- 先生たちの生き方や努力がわかりとても楽しかった。諦めない大切さや努力の大切さがわかった。これから何が起こるかわからないけど、どんなものにも正面から立ち向かっていこうと思った。
- 原ゆたかさんの子供のころの話が心に残りました。原先生が子供のころに嬉しかったような話を生かして書いてくださっているので毎回毎回面白い本なんだとわかりました。
- 何度失敗してもいい!という事をこれからのことに生かしていきたいです。これからも頑張ってください!
(高校生以上の方から)
- 楽しいお話をありがとうございました。子供に傷ついてほしくないという思いから、失敗しないよう手助けしてしまう場面が多かったです。しかし先生のお話の中でたくさんの経験をするために失敗してもいいという言葉に心打たれました。
- 子供が大好きだったゾロリの裏話や原先生、尾木先生のお話がとても面白かったです。
- お二人の先生の子供へのあたたかい言葉に大人の私としても励まされました。ありがとうございました。