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【イベントレポート】こどもの読書週間トークイベントin 都立多摩図書館「読書で脳を鍛えよう!たのしい読書のすすめ」を開催しました。

2024年6月26日

5月11日(土)にトークイベント「読書で脳を鍛えよう!たのしい読書のすすめ」を開催しました。トークイベントの内容や参加者の声をご紹介します。

日時

2024年5月11日(土) 午後2時から3時30分まで

会場

東京都立多摩図書館 2階セミナールーム

講師

尾木 直樹(おぎ なおき)さん(名誉館長)

教育評論家、法政大学名誉教授。中学校、高校、大学の教員として、合計44年間教壇に立つ。愛称は尾木ママ。令和5年4月1日から都立図書館名誉館長。

中野 信子(なかの のぶこ)さん(脳科学者・認知科学者)

脳科学者・認知科学者。多数のメディアにご出演され、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に活動。

当日の様子

脳科学者・認知科学者である中野信子さんをお迎えしてこどもの読書の大切さ、本との出会い、図書館の思い出等について、脳科学の視点も交えながら対談形式で語っていただきました。おふたりともきっかけは違えど、子ども時代から図書館で多くの時間を過ごし、豊富な読書量と現在に至るまで数多くの著書、執筆活動をされています。
ご自身の体験や脳科学の視点からも貴重なお話を伺うことができました。

会場の様子

 イベントでは、おふたりに、参加者からたくさんの質問があった「子どものころに読んで印象に残った本」についてお答えいただきました。

 中野さんからは、ステファン・ツヴァイク「目に見えないコレクション」をご紹介いただきました。目が見えなくなったコレクターの所蔵する絵を利益や生活のために利用する周りの人たちと、記憶の中にある絵について恍惚に語る老コレクターの美術を愛する気持ちが対比され、キラキラと輝いて見えたそうです。本を読むことで、作者や現実には存在しない架空の世界の人たちに出会うことができること、読めば読むほど自分の中の住人が増え、心や脳の中で対話しながら生きられることがとても豊かな体験だと語られました。

 尾木さんは、中学時代に読んだ松本清張「点と線」が印象に残っているほか、有島武郎や武者小路実篤の作品を読み、一生懸命に真実を求め、愛や友情を大事にする生き方に憧れたそうです。

 また、中野さんには、脳のイラストも使いながら、紙の本と電子書籍の場合の脳の処理の仕方や「マインドパレス」と呼ばれる記憶法、子育てと読書に関する質問についてもお話をいただきました。「マインドパレス」は、頭の中に図書館を作るように記憶の棚をつくる記憶法だそうです。私たちの脳は大容量の記憶を格納できますが、乱雑だと取り出しにくく、「知っているけど思い出せない」ことがあります。図書館のようにジャンルごとの棚をつくり、整理して記憶を格納すれば取り出しやすく、細かいところまで覚えておけるそうです。

 さらに、お二人には「その時はうまく書けた文章でも、時間が経ってから読み直してみると変に感じたり、恥ずかしい気持ちになったりします。おふたりもこういったことはありますか?文章を読めることと書けることは少し違うように思いますが、本を読むことはやはりうまく書けることに直結するのでしょうか?」といった質問にもお答えいただきました。文章を書くことが苦手という方も多いと思いますが、人間の脳は、毎日何気なく、多くの文章の読み書きに大量の処理を行なっていて、文章を上手書けるようになるには、やはりトレーニングは必要だそうです。

 良い文章を書く秘訣として、虫の目と鳥の目の二つの目を持つことが紹介されていました。書く時は、文章と自分の距離の近い虫の目で見ながら書き、そこから一旦離れて鳥の目で俯瞰することで文章の読みやすさ、伝わりやすさが見えてくる。この両方の目を持ちながら書ける人が文章の上手い人、また、日記を書くことで文章に慣れることも大切とのアドバイスをいただきました。

 会場からは、「業績が上がるビジネス書などが評価される一方で、物語はあまり尊重されていないと思うがどう思うか」という質問も寄せられました。中野さんからは、「物語を知っている人は圧倒的に有利。物語は国さえ動かすことができる強い力も持ち得る。物語の持つ力を知っている人はその重要性を理解しているので、物語が不要と言うのは、物語を知らない人を増やすための言説ではないか」とお話がありました。尾木さんからは、「物語は様々な登場人物や色々なシーンがあり共感能力を高めてくれる。政治や戦争についても、物語を読むことで感じ取る能力が高まってくる」とお話がありました。

 今回のイベントは大変多くの方にご応募いただき、当日は、幅広い世代の方にお越しいただきました。おふたりの読書体験から記憶法、文章の書き方や人との話し方など、脳科学の視点も交えながら幅広いお話を聞くことができ、本や読書の面白さを改めて感じていただくことができたのではないでしょうか。

参加者の声(アンケートより抜粋)

  • 読書などにより、自分を豊かにしておき、自分が仲良くしたい人が現れた時に、好きになって興味を持ってもらえる様にして おきましょうというアドバイスは、思春期の子たちには心に響くメッセージだったなと思いました。
  • 文章は鳥の目、虫の目で読みおこすと良い。物語を知っている人、読んでいる人は基礎力、説得力がある等とてもタメになる お話が聞けました。ありがとうございました。
  • 大好きなおふたりのお話を直接聞くことができてとても楽しかったです。物語の持つ力が大きいなと感じました。 右脳、左脳のお話も衝撃的でした。素晴らしい企画をありがとうございました。
  • 読書の大切さをあらためて教えて頂きました。自分の心を豊かにして視野を広げていきたいです。
  • 「話し上手は聞き上手」参考になりました。

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