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【イベントレポート】朗読会&トークイベント in 都立中央図書館「今、図書館から平和を考える〜『星は見ている』を語りつぐ」を開催しました。

2024年8月 9日

7月13日(土)に朗読会&トークイベント「今、図書館から平和を考える〜『星は見ている』を語りつぐ」を開催しました。トークイベントの内容や参加者の声をご紹介します。

日時

2024年7月13日(土) 午後2時から3時30分まで

会場

東京都立中央図書館 4階 多目的ホール

講師

尾木 直樹(おぎ なおき)さん(都立図書館名誉館長)

教育評論家、法政大学名誉教授。中学校、高校、大学の教員として、合計44年間教壇に立つ。愛称は尾木ママ。令和5年4月1日から都立図書館名誉館長。

紺野 美沙子(こんの みさこ)さん (俳優)

俳優として活躍する傍ら、国連開発計画親善大使として活躍。2010年秋から「紺野美沙子の朗読座」を主宰。2016年岐阜県図書館名誉館長に就任。元祖「スー女」としても知られ、横綱審議委員を務める。

当日の様子

 イベントの前半では、原爆で中学1年生の息子を亡くした母親の手記『星は見ている〜全滅した広島一中一年生・父母の手記集』の一編を、音楽と映像にあわせて紺野美沙子さんが朗読されました。後半の尾木直樹さんとのトークイベントでは、参加されたみなさまと一緒に平和やかけがえのない日常の大切さについて考えたり、事前に頂いた質問を取り上げながら、お二人が影響を受けた本の紹介や図書館の思い出、お二人の大好きな相撲のことなど幅広く語っていただきました。

会場の様子

 朗読会は、まず紺野さんから『星は見ている』の歴史的、地理的な背景説明があり、スクリーンに星空のイメージ映像と音楽が流れる中、紺野さんの会場を包み込むような温かく美しい声で始まり、会場の方々は一瞬にして『星は見ている』の世界に惹きこまれていきました。紺野さんの朗読は、あたかもその場面が目の前に見えるようで、時おり涙を拭う人も見られ、素晴らしい朗読の余韻の中、会場内に静かな感動が広がっていきました。
 トークイベントでは、事前アンケートで「高校生に平和について知ってもらうために、どのようなことをしていくべきでしょうか」と質問してくれた高校生に、尾木さんがマイクを向けると、修学旅行で広島を訪れる予定とのことで、「戦争はだめだと頭では理解していたが、それぞれの大切な人、家族、日常、人生を奪うことだということを改めて考えされられた。朗読の内容は、子どもにも大人にも分かりやすく、刺激を受け、感動した」と感想を伝えてくれました。
 紺野さんは「気づいてもらえたことが本当に嬉しい。その思いをぜひ同じ高校生へ伝えて欲しい。」と励まし、紺野さん自身も、世界で起きている紛争・戦争に対し、何もできないという無力を感じても、今、自分に出来ることをしようと、大好きな朗読を通じて、地道でも平和や日常の大切さを伝えていこうと『星は見ている』を広める活動に取り組まれているそうです。
 尾木さんは、世界で紛争が続いている今、平和について考えることの大切さ、難しさについて共感しつつ、若い世代が原爆について知り、現地を訪れることの意義について教員時代の修学旅行を例に話してくださいました。修学旅行の引率で行った広島で、生徒の発案により平和記念公園の禎子像の前で生徒全員が「イマジン」を合唱したこと、アメリカの子どもたちとの文通を通じて原爆や平和の大切さを考え合ったことなどを話され、今も昔も世界の子どもも大人もみんな平和を願っているはずだから、今日をきっかけに関心を深め、実り多い修学旅行にしてほしいと伝えていました。
 多くの質問をいただいた「お二人が人生で影響を受けた本」について、紺野さんからは4冊ご紹介いただきました。1冊目は、福沢諭吉『学問のすすめ』。「一身独立、一国独立する」、一人ひとりが自立してこそ、一つの国が独立できる。勉強だけでなく、実学を常に学ぶことを教えられた、ご自身の原点となる一冊だそうです。世の中で一人ひとりの役割を限られた時間の中で行っていくこと、それが、この朗読活動にもつながっているそうです。
 次に中野幸一 訳『正訳 源氏物語 本文対照』。 多くの作家が訳されている中で、まるで紫式部が語っているような、宮廷女房の語り口調が特徴とのことで、ご自身の朗読座でも朗読されているそうです。
 子育ての時に励みとなった佐々木正美『子どもへのまなざし』は、子育て、幼児教育をされているすべての方に読んでいただきたいとのこと。新見南吉『でんでんむしのかなしみ』は、誰しも悲しみを背負って生きているということを教えられ、魔法の言葉のように心が軽くなったと話されていました。
 尾木さんからは、三木清『人生論ノート』をご紹介いただきました。手に取った1編がとても気に入って全集を購入されたそうですが、他はとても難解で驚かれたそうです。また、宮本武蔵の『五輪書』も影響を受けた一冊として挙げられていました。
 図書館に来るとお腹が痛くなっていたという紺野美沙子さんと、学生時代は図書館でずっと過ごされていたという尾木直樹さんから、図書館の思い出についてもお話いただきました。「都立図書館に求められる機能は?」との質問には、尾木さんからは「『居場所』という役割もあるのではないか」とのコメントがあり、先日訪問された岐阜県可児市の民間企業とコラボした新しい図書館は商業施設内に図書館があり、商品とともに関連する本が一緒に置かれているとのことで、至る所に配置された椅子で気軽にパラパラと本を見ることができ、本を借りるだけでなく商品購入にも繋がっているそうです。紺野さんからは「サードプレイス」(第三の場)としての図書館の役割や図書館に期待していることなどのお話がありました。
 最後に、大相撲名古屋場所直前というタイミングもあり、横綱審議委員でもある紺野さんから見どころを教えていただき、好きな力士のお話などでも盛り上がり、あっという間の90分でした。

参加者の声(アンケートより抜粋)

  • 自分の人生を変えた本についての話、朗読講演会またやって欲しい。
  • 最後の焼け野原の部分が心に残った。またこの図書館や地震のことについて知りたい。
  • 現在、中一の息子の反抗期に悩んでいるが、元気をもらった。また、今日から頑張っていきたい。
  • 素晴らしい朗読とトークショーであった。子供がいる母親として考えさせられ、限りある命、大切な誰かの役に立てるよう日々過ごしていきたいと感じた。
  • 戦争を忘れてはいけない。語り継ぐことの大切さを改めて考えなくてはいけないと思った。
  • とても貴重な経験であった。終始感動で涙が止まらなかった。お勧めの本も読んでみたい。

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