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ブックリスト「木」

目次

凡例

通し番号 書名(シリーズ名)
著者名 出版社 出版年 ISBN 当館請求記号(*)

紹介文
(*)請求記号の初めの三けたの数字は、日本十進分類です。
「E」は、分類726のうち、絵本に与えています。
『たくさんのふしぎ』など雑誌には、請求記号はありません。

図鑑

1 雑木林ウォッチング(自然観察シリーズ)
中山周平著 小学館 1985年 471/4/85

雑木林の代表的な樹木9種を紹介し、続いて四季を追って、樹木、草木、虫、鳥など、雑木林の生態を写真で解説している。巻末に索引があり、図鑑としても使える。
「自然観察シリーズ」は、フィールド観察に携帯して、調べるのに便利。

2 木の本(かがくのほん)
高森登志夫え萩原信介ぶん 福音館書店 1986年 4-8340-0678-6 470/11/86

木の四季を描いた絵本。見開きいっぱいに、春は様々な花や芽生えを描き、夏は木の実と葉っぱ、秋は花、実、紅葉、冬は枝と、季節によって木のさまざまな部位や様子に焦点を当てている。木の多様性に驚かされる。タイトル文字に葉脈を描いたり、表紙、裏表紙、見開きに同じケヤキの違った季節の姿を使うなど、本全体に工夫があり、楽しい。巻末に「さくいんとかいせつ」があり、図鑑としても使える。中学年から。著者は森林植物学の専門家。

3 花と実の図鑑1〜8巻
斎藤譲綱絵三原道弘文 偕成社 1990〜2004年 4-03-971010-X〜-971080-0 470/3007/1〜8

見開きに1種類の木を取り上げ、芽、花、葉、実、種の様子を大きな絵でていねいに描いている。はなびらやがくのつき方、種の中味などが細かい点までよくわかる。
本シリーズは全8巻で、『春に花が咲く木』『夏・秋・冬に花が咲く木』『公園や庭でみられる木』『校庭や街路でみられる木』『散歩道でみられる木』『身近な樹木の1年』『身近な樹木の観察1・2』で構成され、8巻に全巻の索引がある。各巻ごとに、「花の咲く順」で並べている。木の名前から調べようとしたとき、どの巻を見てよいかわからない点が不便。中学年から。

4 日本どんぐり大図鑑
徳永桂子著北岡明彦解説 偕成社 2004年 4-03-971140-8 657/5010/2004

著者はボタニカル・アーティスト。日本で見られるどんぐり全30種と外国のどんぐり10種を、実と葉の実物大の写実的なイラストで紹介。木全体の様子、分布図、漢字名、学名、花、樹皮、イラストの元になった木の場所なども記載。巻頭にどんぐりの調べ方、巻末に愛知県自然観察指導員の北岡明彦の解説、参考文献、用語解説、英文解説、和名と学名の索引がある。絵だけなら低学年から楽しめる。

さまざまな木

5 さまざまな木のすがた(図説 木のすべて1)
小澤普照監修山岡好夫著 大日本図書 1999年 4-477-00976-3 653/5001/1999

見開きごとに1つのテーマで樹木の様々な面を紹介している。樹木の進化と分類、器官、年輪、種類、葉や花の形、地球との関係など全般に渡っている。
本シリーズ「図説・木のすべて」は全5巻。装丁の魅力や通読する楽しさにはやや欠ける。中学生以上の調べ学習に使える。索引はない。

6 ふゆめがっしょうだん(かがくのとも傑作集34)
長新太文茂木透、冨成忠夫写真 福音館書店 1990年 4-8340-1020-1 470/3021/90

様々な冬芽の写真に、長新太のユーモラスな一言を添えた写真絵本。
木の冬芽が、動物や人間の顔に見え、いまにもつぶやいたり、呼びかけてくるような気がするのは、不思議。本書を読んだ後には、誰でも冬芽を探しに行きたくなるだろう。冬の自然観察にぴったりの1冊。
最後のページに、撮影された木の名前を挙げている。読んでもらえば、幼児から楽しめる。

7 木の実ノート -みつけてうれしいあそんでゆかいな
いわさゆうこ作 文化出版局 1999年 4-579-40394-0 657/5001/1999

1ページごとに身近なコブシ、エゴノキ、フジなどの実を中心にイラストと写真で解説。木の幹や花、実の特徴、自生地、食べ方など、まめ知識がたくさん載っている。頁の下にはその木と同じような実ができる木を紹介。そのほか、赤い実や青い実を並べたり、染色の方法や梅干しの作り方、かき渋の実験など、低学年から幅広い年代が楽しめるおしゃれな本。
イラストや手書き文字の書き込み、写真などが並び、楽しく、魅力的に見せているが、一方では、レイアウトがうるさいという一面もある。高学年から。

8 きになるみがなる
越智典子文横山敏子絵 福音館書店 『たくさんのふしぎ』115号(1994年10月)

1本のりんごの木の四季を描き、りんごの実がなるまでを科学的に説明している。後半ではりんごの種に焦点を当て、様々な野菜やくだものの実や種がどこにあるか、どんな仕組みかを紹介している。表紙にある大きなリンゴの絵や本文中の果物の絵が魅力的で、低学年からそれぞれの楽しみ方ができる。

9 紅葉のふしぎ(科学のアルバム88)
佐藤有恒著 あかね書房 1985年 4-251-03388-4 471/7/85

ケヤキを中心に、木々や周囲の自然の移り変わりを追いながら、紅葉の謎を解く。なぜ秋になると木の葉が色づくかは、誰にとっても大きな疑問であろう。写真と説明によって、木の変化をわかりやすく説明している。紅葉の仕組みだけを取り上げるのではなく、木の生活全体を取り上げているので、なぜ葉が変化するのかが、よく理解できる。高学年から。

10 サクラの一年(科学のアルバム38)
守矢登著 あかね書房 1975年 4-251-03338-8 479/66/75

サクラの一年を写真と文章でていねいに解説している。日本では野生のサクラが、品種改良され、 200種以上見ることができる。四季を通して花のしくみや葉の成長を観察している。
『科学のアルバム』は、説明が丁寧で、順序を追っているのでわかりやすいが、写真がやや古いため、焦点の甘いものもある。新装版(2005)でも十分改訂されていない。中学年から。

11 どうしてわかるの?サクラが咲く日(調べるっておもしろい!)
七尾純著 アリス館 2002年 4-7520-0197-7 479/5006/2002

沖縄のサクラ前線は北から南に進むとテレビで聞いて、驚いた著者がその理由を調べる。サクラの開花には一定の寒さがもたらす休眠期間が必要で、その後暖かさを経験して、ようやく開花する。それを「休眠打破」という。沖縄の温暖地では寒さの到来が遅いため、休眠も遅くなり、そのため一定の休眠期間を経た順番に開花すると、北から南にサクラ前線が進んでいくことになる。そのほかサクラ前線やサクラに関する疑問をインターネットを利用したり、資料に当たり、専門家に聞いて、解明していく。サクラに関することがわかると同時に、調べ方の方法や面白さが書かれていて、大人にも参考になる。
日本人にはなじみのあるサクラだが意外に分からないことが多い。例えばソメイヨシノの来歴も諸説あり、今後の遺伝子の研究の結果が待たれるという。身近のことに潜む謎があることを示している。調べ方の手順もわかりやすく書かれている。高学年から。

12 どんぐりノート -ひろってうれしい知ってたのしい
いわさゆうこ、大滝玲子作 文化出版局 1995年 4-579-40356-8 657/3001/95

どんぐりのあれこれをイラストで楽しく綴った本。1頁ごとに1種のどんぐりを紹介している。あちこちにまめ知識的なコラムがあり、雰囲気が楽しいが、少し見にくい。どんぐりの同定に役立つ。巻末にドングリの工作、ドングリの料理が数種類ずつ出ている。高学年から。

13 ドングリ観察事典(自然観察の事典)
小田英智構成・文久保秀一写真 偕成社 1998年 4-03-527360-0 479/3037/98

ドングリのうち、特にコナラを取り上げ、四季を追って、その成長、ドングリをめぐる虫や小動物の暮らしを解説している。どんぐり人形の作り方や食品としてのどんぐりも取り上げている。写真が鮮明で、オトシブミがゆりかごを作る様子を順番に撮影するなど、視点が生き生きしている。文章も読みやすい。
冒頭と最後に宮沢賢治の「ドングリと山猫」をもってくるなどの工夫も楽しい。『自然観察の事典』は高学年以上が対象で、おすすめのシリーズ。

14 はるにれ(シリーズ名)
姉崎一馬写真 福音館書店 1981年 4-8340-0857-6 E/123/81

北海道の草原に立つ一本のはるにれの一年を撮影した写真絵本。文章はない。読者は、春の空を背景に枝を伸ばしたはるにれや一面に雪景色のなかに立つ姿、夏の風に枝葉をゆらす様子などを見て、さまざまなことを感じることができる。どのような楽しみ方、受け止め方もできる写真絵本である。低学年から。

15 日本の風景松(絵本〈気になる日本の木〉シリーズ)
ゆのきようこ文阿部伸二絵 理論社 2005年 4-652-04035-0 653/5015/2005

私たちが日本的だと感じる風景のひとつに松のある風景がある。松の用途や風景の中でどのように生かされてきたかを描く絵本。
赤松と黒松は用途が異なる。浜辺に植えられて農業や暮らしを守ってきた黒松。松脂や墨として生活に役立ってきた赤松。どちらも長く愛されて庭木や盆栽としてもめでられてきた。和風のイラストと丁寧な解説で、日本人の心に訴える風景の謎を解き明かす。平易な文と楽しいイラストで年齢を問わず楽しめるが、文化のよりどころとして理解するには高学年から。

16 寄生植物 -ヤドリギのひみつ(自然と科学)
清水清著 岩崎書店 1982年 471/38/82

落葉樹に寄生するヤドリギ。根の仕組み、花の受粉、種の広がり方など、寄生植物の生態を写真と文章で紹介している。寄主の幹に食い込んでいる根っこや、鳥が種を運んで、発芽するなど、その仕組みの見事さに驚く。
「自然と科学」シリーズは刊行は古いが、写真と文章のバランスが良い。高学年から。

17 「植物の宝島」への旅 -屋久杉の原生林をたずねて(子ども科学図書館)
高橋喜平文と写真 大日本図書 1983年 472/7/83

屋久島特有の環境から生まれた屋久杉の成長や屋久杉をめぐる歴史、縄文杉の発見、著者の縄文杉をたずねる旅などが語られる。全体に書き方が散漫で、写真も古い。高学年から。屋久杉に関して、子ども向けの適書がほしい。

18 緑のドクター -老木の治療に生涯をささげる樹医・山野忠彦(くもんのノンフィクション・愛のシリーズ17)
藤崎康夫著 くもん出版 1988年 4-87576-435-9 915/521/88

老木の治療に当たる樹医のパイオニア、山野忠彦の伝記。戦前朝鮮で植林に携わった山野は、戦後日本でも仕事を続けるが、老木が次々と切り倒されたり、開発のために病気になっていく様子を見て、木の治療に専念しようと決意する。家族の協力を得て、20年間の研究生活の後、69歳から樹医としてスタート。旧来の木の穴にセメントを詰めていた治療を廃し、きれいな土を詰めたり、独自の栄養剤を注射するなど、新しい治療法を確立し、全国の銘木を救って歩く。木の治療には木に触って呼びかけ、また回りの環境も調べ、原因を取り除くなど、経験と研究に裏付けられた総合的な判断が必要である。
感動ものの伝記という押しつけがやや感じられるが、山野の生き方の持つ魅力に惹かれて読むことができる。写真や挿絵はよくない。その後の研究成果なども踏まえた、類書が望まれる。高学年から。

19 おおふじひっこし大作戦
塚本こなみ文 一ノ関圭絵 福音館書店 『たくさんのふしぎ』206号(2002年5月)

著者は日本初の女性樹医。足利市の植物園を郊外に移転する際に、オオフジの引っ越しを依頼される。オオフジの調査、フジ棚を縮小し、いったん掘って、根切りをしておくなどの事前準備、移転先の土作り、クレーンと大型トラックを使った引っ越しを時系列でイラストと文で記述している。最後は見事に再生した満開の藤の花(ここだけ写真で効果的)で終わる。
樹木の移転の手順と同時に、樹医という職業が紹介されていて興味深い。「大公開樹医の7つ道具」や根を切り、水ごけで被う様子、フジ棚のままクレーンでつりあげる場面など迫力がある。枝が曲がって、運びにくいフジを石膏包帯でくるむアイディアにも驚く。中学年から。

森を調べる

20 森林はなぜ必要か(環境と人間 2)
只木良也著 小峰書店 1992年 4-338-10402-3 653/3004/92

古代文明は大きな川の下流におこったが、それは森林がもたらす良い土によって、豊かな作物が収穫できたからである。文明が栄え、人間が森林を荒らすようになると、土地の力は失われ、文明は滅んでいく。かつて古代文明の栄えたあとが、砂漠になっている例が多い。まず、冒頭で、有史以来の人間と森林の関係を的確に述べている。
世界に広がるさまざまな森林の種類も、雨と気候の関係で、多雨林、常緑広葉樹林、サバンナ、砂漠、氷雪等に分類されること、自然の遷移、土が森を、森を土が育てる森の仕組み、森林が私たちの生活にどう関わっているかなどが、順々に説かれ、何となく知っていたことが、明確に整理され、理解できるようになる。
森林について核となる本である。難しい内容を言葉で順々に説いているため、説得力をもち、納得できる。本書と同じような内容であっても、図式などで示してあるだけだと、理解も表面的で、自分の問題としてとらえられない。高学年から中学生以上が対象。

21 森は生きている 新版(自然と人間)
富山和子著 講談社 1994年 4-06-206968-7 650/5001/1994

木が人間にもたらしてくれたものを取り上げ、森林が国土や水源となってきたことをわかりやすく説明している。言葉が平明で、丁寧に順を追って説明しているので、無理なく理解できる。『森林はなぜ必要か』と内容は同じだが、視点が人間の側にあり、ややグレイド低いが、理解できるのは高学年から。特に日本人に焦点をあて、山に神々が住んでいるという考え方を紹介し、その根底にあるものを示している。
土壌を生み出すのは森林、その森林を守ってきたのは人間であり、人間こそ何よりも自然に守られて生きてきたと説いている。
著者は『川は生きている』、『道は生きている』と本書の3冊を通して、自然がなぜ大切かを、特に人間の歴史や社会、文化の視点から述べている。初版(1981)から20年以上経過しているが、内容は古くなっていない。高学年から。

22 ブナの森は緑のダム -森林の研究
太田威写真・文 あかね書房 1988年 4-251-06400-3 653/3001/88

天然の水がめといわれてきたブナの森の春夏秋冬を写真と文で紹介している。森に生きる虫、鳥、サルや樹木、きのこ、時にはその恩恵にあずかる村人の暮らしを含めて、淡々とつづっている。ブナの森を中心に巧みに食物連鎖が完成していること、その生態系が近年崩れつつあることを後半に説明している。前半の具体例がわかりやすいため、この部分も共感を呼ぶ。高学年から。

23 ブナの森は生きている
甲斐信枝ぶん・え山本進一監修 福音館書店 1996年 4-8340-1375-8 650/3003/96

ブナの四季を描きながら、ブナがゆっくりと世代交代していること、他の動物の命を支えていることをわかりやすい文章で書いてある。大型絵本。絵で描いたブナの森は、写真では表現できない力強さを感じさせる。監修者の山本進一(岡山大学助教授)が巻末に、著者とブナの森について一文を寄せている。『ブナの森は緑のダム』の低学年向けの絵本版といえる。

24 出羽のブナの森(写真絵本自然からのおくりもの)
太田威写真・文 日本書籍 1992年 4-8199-2005-7 653/3003/92

ブナの森の四季を描いた写真絵本。ブナのじいさまを案内役にブナ森に生きる動物や落ち葉の役割、さらに里の人々へもたらす恩恵などが、やさしい言葉で書いてある。
ブナ森の仕組みや他の生き物や人間の暮らしとの関係の説明が十分ではないが、写真の美しさを味わうことができる。中学年から。

25 森へ(たくさんのふしぎ傑作集)
星野道夫文・写真 福音館書店 1996年 4-8340-1227-1 295/3006/96

写真絵本。南アラスカからカナダに広がる原生林をカヤックでくだり、森に入ると、サケやクマ、こけむした巨木に出会う。カメラマンの目を通して、森で繰り広げられる自然の営み、不思議を淡々と語っている。中学年から。著者は著名な写真家。1996年にヒグマに襲われて死去。

26 ボルネオの熱帯雨林 -生命のふるさと
横塚眞己人著 福音館書店 2004年 4-8340-1976-4 462/5010/2004

著者はカメラマン。ボルネオの熱帯雨林に生きる生物を写真と文章で記録している。私たちには想像もつかない、熱帯雨林の生き物の暮らし方や仕組みに驚く。日光があふれ、生物が最も多い林冠、他の木に根を張って育つ着生植物、4、5年に一度、森の動物たちに食べきれないほどたくさんの実をならすフタバガキ、美しい羽の鳥たち、オラウータンやテナガザル、まだすべてが解明されていないたくさんの昆虫たち。
本全体の、またページごとの構成が工夫されている。写真が鮮明で、美しい。高学年から。

27 熱帯雨林をいく
鬼丸真人文荒井真紀絵 福音館書店 『たくさんのふしぎ』189号(2000年12月)

ボルネオの熱帯雨林に生きる植物や動物を描いた本。目にすることのない熱帯の植物の強烈な生き方にまず驚く。幹から直接実がなる果物(乾生果)は大型の動物に種をはこんでもらうために、動物の目につきやすいようにしてある。シメコロシ植物が宿り主を利用して成長する様子、密生する熱帯雨林ではどうやって日ざしを獲得するか、熾烈な競争に勝つために種から工夫がされている、など知らない自然の仕組みに驚く。
さらに動物や昆虫にいたっては、いまだに全てを掌握できるほど研究が進んでいないという事実に驚く。豊富な絵で熱帯雨林の様子が描かれている。植物や昆虫に比べて、哺乳類の絵が精彩を欠いている印象がある。また大きさがわからないのも難点。熱帯雨林の紹介や導入に使える。中学年から。

28 ドイツの黒い森(シリーズ名)
西森聡写真・文 福音館書店 『たくさんのふしぎ』153号(1997年12月)

ドイツの南西部にある黒森を訪ね、森林管理官や山で働く人々、そこで暮らす子どもたちに取材をした本。ドイツの伝統的な仕事や習慣を守る村人の暮らしと黒森を次世代に伝える努力が伝わってくる。中学年から。

29 森はだれがつくったのだろう?
ウィリアム・ジャスパソン文チャック・エッカート絵河合雅雄訳 童話屋 1992年 4-924684-65-1 653/3002/92

マサチューセッツ州の広葉樹林を舞台に、森の遷移を克明な絵で描いた本。200年前に開墾者によって開けた緑の土地。農夫一家がそこを去って、地面は草でおおわれていく。ウッドチャックやフクロウ、トガリネズミなど小動物が住み始め、アメリカシロマツが芽を出し、20年後にはマツ林ができる。次いで、木陰の好きな苗木が生え、100年後にはマツに代わって広葉樹林の森が生まれ、大きな動物たちも棲息するようになる。
森林の遷移は自然の法則に従って行われる。ここに人間の手、文明が入り込んで様々に変化しているのが現状である。日本では自然のままの極相林はほとんど存在しない。『森林はなぜ必要か』などと併せて読むと理解が深まる。
イラストは白黒で克明に描かれ、わかりやすい。訳者の河合雅雄は著名な霊長類学者・生態学者。子ども向けの本も執筆している。内容を理解するには、高学年から。

木から作る

30 木は生きている -森林の研究
稲本正文姉崎一馬写真 あかね書房 1985年 4-251-06397-X 657/2/85

伐採された木が、製材、乾燥を経て家具や家になるまで、縄文時代に木がどう使われたか、様々な森で育った木が、その性質によりどう加工されているかなどを丁寧に解説している。写真が美しい。木が材料となるだけでなく、快適な生活環境を作ること、そのために木を植えようと呼びかける。実際に木工に携わっている著者の誠意が伝わってくる。高学年から。

31 日本人は木で何をつくってきたか(「物づくり」に見る日本人の歴史 1)
西ヶ谷恭弘監修 あすなろ書房 2000年 4-7515-2081-4 502/5002/1

日本人が木で作ってきた物を見開きのページごとに、写真と図で紹介している。寺社、仏像、屋敷、民家、道具、木の切り出しを取り上げている。
法隆寺の五重塔の構造を説明するだけでなく、歴史的背景から宝物まで紹介し、盛りだくさんである。高学年から中学生以上。

32 木と人間の歴史(図説 木のすべて 2)
小澤普照監修 大日本図書 1999年 4-477-00977-1 657/5004/1999

木と人間の関わりを古代から現代まで、テーマ毎に紹介。古い木造建築や木の工芸や道具だけでなく、木の皮、繊維、樹液など木からあらゆる材料がとれることがわかる。和紙、漆、ろうそく、松ヤニ、楽器、こけしなど人間と木の深い関係を示している。

33 現代における木の利用(図説 木のすべて 3)
小澤普照監修 大日本図書 1999年 4-477-00978-X 658/5001/1999

『木と人間の歴史』が歴史的な木の利用法であるのに対し、本書は現代の最先端技術における利用法を取り上げている。木に含まれる成分から食品が、煙からとれるタールから土壌改良材ができるなど、木の全ての部分が驚くほど様々な材料として利用をされている。索引がないのが残念。

34 あたたかい火 -炭焼き小屋の話(地球大百科生きている森)
生きている森編集委員会編 ぎょうせい 1989年 4-324-01504-X 658/501/89

炭の作り方を詳細に説明している。和歌山で実際に炭焼きをしている人の写真と図を使っている。炭焼きの仕事をここまで詳細に書いた資料はないが、全体に作りが甘い。炭の全体像から始まらず、いきなり、「炭の収穫」から始まり、炭がまの作り方、原木の準備と順序が逆のため理解しづらい。また同じ事を繰り返し述べたり、写真もイラストも粗雑で生き生きしていない。100頁を越える大部なものでなく、もっと少ない頁で炭の魅力を伝える本がほしい。高学年から。

35 ぼくの家ができる :たてるじゅんじょ・つかうどうぐ(みるずかん・かんじるずかん)
嘉来国夫ぶん樺山祐和え 福音館書店 1988年 4-8340-0802-9 525/3001/88

在来工法により「ぼくの家」ができるまでを順に描いた絵本。特にさまざまな工具に重点を置いている。描かれた道具の長さを3.5倍すると実物大になる。
現在ほとんど目にすることのない道具もある。柱や梁の組み合わせ一覧、カンナとそれで削った木材の一覧など資料としても貴重。家を作る手順がわかるというより、木を細工するために必要な道具の紹介が中心。著者は竹中工務店を経て、竹中大工道具館副館長。見て楽しむなら低学年から。

36 ワザあり! 大工(おしごと図鑑)
くさばよしみ著村松ガイチ画 偕成社 2002年 4-577-02338-5 525/5003/2002

大工の仕事を1ページごとに項目をたてて、イラストと簡単な文章で紹介。大工のスタイルから道具、木について、家の建て方等が親しみやすく書かれている。末尾にどのような学校や修行を経て大工になれるかを具体的に解説。挿し絵の大工が全て男性なのが残念。ラッパー(本のカバー)をはずして裏を広げると、面さしがね型紙の付録になっている。高学年から。

37 一本の樹からはじまった(人と"こころ"シリーズ)
土岐小百合著 アリス館 1994年 4-7250-0022-9 915/3137/94

渋谷区広尾に立つ大ケヤキを伐採することになり、そのケヤキの下で育った著者は、何とか木を残したいと思い、友人と「一本の樹」プロジェクトを立ち上げる。広く呼びかけてケヤキの葉や枝、幹を分けて何かを作ってくれる人を募集し、その人たちの立ち会いのもと、ケヤキを伐採し、切り分けて行く。ケヤキを持ち帰った大勢の人たちは、3年後に再び集まり、子どもの城で「樹-一本の樹から地球へ」と題した展覧会を開く。本書はその全記録であり、思いもかけないたくさんの人々の出会いや自然に寄せる思いからから生まれた本である。
ケヤキを伐採するのは、68歳のきこり。初めはチェーンソーを使っていても、最終的には木挽きのこで手によって切る。全員で綱を付けた樹を引っ張って倒すなど、伐採手順には知らないことが実に多い。また寄せられた作品は多種多様で、木工はもちろん、皮を使ったかご、葉や枝を原料に染色した布、幹を空洞にした楽器、根っこの椅子、マリオネットなど様々な世代の人の創意工夫が楽しい。このように話題になったケヤキはまれで、ほとんどは気づかぬまま次々と切られていく。命のある樹に対して、このままでよいのか自問をせまられる。高学年から。

38 動物組み木をつくる(シリーズ・子どもとつくる 1)
小黒三郎著 大月書店 1983年 4-272-61101-1 754/42/83

木を使った組み木を自分たちで作って、親子やグループで遊ぶことを提唱している。具体的な作品の写真、型紙、作り方が書いてある。作品を見ているだけでも楽しい。
「子どもとつくる」とあるように、大人と作ることを前提としている。高学年から。

39 草や木のまじゅつ(たくさんのふしぎ傑作選)
山崎青樹文・絵石曽根史行ほか写真 福音館書店 1998年 4-8340-0652-2 753/3001/89

著者は、群馬県重要無形文化財。草木染研究所設立。サクラやオオマツヨイグサなどの花やどんぐりやフジの葉などの木を使って、簡単にできる草木染めをわかりやすく解説している。また藍染めや紅花染め、型染めなど伝統染色も紹介。染色された布の写真が美しい。この本を読むと実際にやってみたくなる。中学年から。

絵本・物語

40 木をかこう
ブルーノ・ムナーリ作須賀敦子訳 至光社 1983年 4-7834-0132-2 725/3/83

イタリア出身のデザイナー、ムナーリが教える木の描き方。幹から遠くなるほど枝が細くなる。幹がまず2本の枝にわかれ、その枝がまた2本にわかれる。この法則に従って、木を描いてみる。その木にさまざまな工夫を加えると、いろいろな木が誕生する。ちょっとした規則を守ることで、誰でも絵が描けることを教える本である。実際に子どもたちが絵を描く際に、役に立つ。高学年から。

41 どんぐりかいぎ(かがくのとも傑作集)
こうやすすむ文片山健絵 福音館書店 1995年 4-8340-1333-2 479/3026/95

北国の森では、どんぐりのたくさんなる年とならない年が1年おきやってくる。その理由をお話にした絵本。
森の動物たちは、食べきれないどんぐりを地面に埋めるので、毎年、春になると新しい芽が出る。ところが、動物が増えすぎて、埋められるどんぐりがなくなり、新しい木が育たなくなる。年をとるばかりで困り果てたどんぐりの木たちが、会議を開く。話し合いの結果、翌年は食べきれないほどたくさんならすが、数の増えた動物たちは全部食べてしまう。その年の秋に、大変なこと起きる。どんぐりがほんの少ししかならなかったのだ。動物たちは飢え、冬にはたくさん死んでしまう。翌年、木たちは1年間休んだために、力を盛り返し、たくさんどんぐりをならす。動物たちの数が減ったので、たくさんのどんぐりが埋められ、次の春には次々と芽が出てくる。
科学的な裏づけはわからないが、お話を通して、動物とどんぐりの木の関係が面白く描かれている。読み聞かせにも向く。低学年から。

42 おおきなきがほしい
さとうさとるぶんむらかみつとむえ 偕成社 1971年 4-03-330150-X E/ム3/23

「大きな大きな木がほしい」そう思ったかおるは、いろいろ空想する。大きな木に、はしごをかけて登ると洞穴がある。そこを通って、木のまたの上に小屋を作る。小屋には動物や友だちがやってきて、遊んだり食べたりする。かおるの空想とともに、変わっていく木の様子が楽しい。絵をつなげると大きな1本の木になる。子どもたちに長年人気のある絵本。
著者は、戦後日本の本格的創作児童文学の草分け的存在。『だれも知らない小さな国』(講談社)に始まるコロボックル・シリーズは、村上勉絵のコンビで現在でも読まれ続けるロングセラー。低学年から。

43 木はいいなあ
ジャニス・メイ・ユードリイさくマーク・シーモントえ さいおんじさちこやく 偕成社 1976年 4-06-327090-6 E/サ96/2

木のすばらしさをうたった絵本。森に育つ木、川辺に生える木、1本だけで立っている木、どの木も人間や動物を楽しませ、豊かなものを与えてくれる。春の若葉、夏の木陰、紅葉など四季の移り変わりと喜びを美しい絵で描いている。最後の頁で、木を植えようと呼びかけているが、素直に共感を覚える。幼児から。

44 木のうた
イエラ・マリさく ほるぷ出版 1977年 4-593-50061-3 E/マ155/2

文字なし絵本。1本の木をぺージごとに同じ位置に据えて、四季の流れを描いている。冬、土の下で冬ごもりしていたリスが、春になると目覚めて、木で暮らす。鳥は巣をかけて、子どもを生み、育てる。木をめぐる動物たちの営みを、美しい絵だけで豊かに語っている。絵をじっくり読んで楽しむ1冊である。幼児から。

45 あるきだした小さな木
テルマ・ボルクマン作シルビー・セリグ画花輪莞爾訳 偕成社 1969年 4-03-404140-4 953/ボ8/1

ふかい森の中に立っていたちびっこの木は、ある日、森に来た男の子の家族と暮らしたくなり、根っこを地面から引き抜いて歩き始める。男の子は見つからなかったが、見たいものがたくさんあったちびっこの木は、町の広場や、野原の真ん中や、金持ちの庭などで立ち止まるが、どこでも思うように暮らせない。自由を愛するちびっこの木が安住の地を得るまでを描いたフランスの物語。どのページにも楽しい絵があり、低学年から読める。

46 木を植えた人
ジャン・ジオノ著原みち子訳 こぐま社 1989年 4-7721-9006-6 953/ジ317/501

南フランス、プロヴァンス地方で、たったひとりで黙々と木を植え続けた羊飼い、ブフィエの物語。彼は二つの世界大戦の間もカシやブナやカバを育て、不毛の地を命のあふれる緑の大地に変えていった。ジオノはこれを実話として著わし(1953)、その後カナダのフレデリック・バックが作ったアニメーション映画(1987)で有名になった作品。カナダでは、この映画を契機に植林が激増したという。『木を植えた男』という題名で単行本(1994)と、バックのイラストを使った絵本(1989)がいずれもあすなろ書房から出ている。高学年から。

47 魔法使いのチョコレート・ケーキ -マーガレット・マーヒーお話集
マーガレット・マーヒー作シャーリー・ヒューズ画 石井桃子訳 福音館書店 1984年 4-8340-0981-5 933/マ75/3

魔法使いや妖精など不思議な者と人間の交流を描いた短編集。「魔法使いのチョコレート・ケーキ」は、魔法使いが手作りの肥料のケーキを木々にやって一緒にお茶を飲む、「葉っぱの魔法」はどこまでも男の子についてきた葉っぱがやがて犬になる話、「ミドリノハリ」「メリー・ゴウ・ラウンド」では木の妖精が登場する。中学年からの読み聞かせにも良い。著者は、ニュージーランドの作家で、元児童図書館員。

48 -アジア発こどもエコロジーブック
ユネスコ・アジア文化センター編千葉茂樹訳 小学館 1997年 4-09-290202-6 653/3010/97

アジア、太平洋地域の18カ国の人々による共同出版によって刊行される。見開きごとに各国の木にまつわる昔話やそこに自生する木、木をめぐる環境破壊などが、その国の画家や作家により書かれている。日本のブナ、ベトナムの竹、フィリピンのココナッツ、マレーシアのマングローブ、オーストラリアのボトル・ツリーなどが紹介されている。
ユネスコ・アジア文化センターは、ユネスコと協力してアジア太平洋地域の文化、識字、教育について国際協力事業をしている。子どもの本の出版活動を共同して行い、アジアと太平洋で同時に発行している。これまで昔話、国の暮らし、遊びなどを出している。全体を楽しめるのは高学年から。

書名索引

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