資料収集・整理のページ
2024年3月更新
都立図書館では、調査研究に必要な資料を確実に収集するため、様々な方法で出版情報の収集や資料の購入等を行っています。
また、必要な資料が過不足なく検索できるよう、本のデータの調整(整理)作業も行っています。
ここでは、資料の収集・整理に携わる職員が、図書館の本が「棚に並ぶまで」のしごとを紹介します。
目次 都立図書館の本が棚に並ぶまで 収集・整理に関すること もっと知りたいときに |
都立図書館の本が棚に並ぶまで
- 1日本語資料の場合
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都立図書館では、様々な方法で資料を収集しています。
ここでは「見計らい」で購入する場合の流れを紹介します。
(「見計らい」については図書館サービス向上委員会のホームページに簡単な解説があります。)図書館に本が届く〜選書の準備
- あたらしい本は、毎週月曜日〜金曜日の朝8時30分頃に届きます(年末年始やお盆など、配本がお休みの時もあります。)。
- 土曜日に発売される本は、翌月曜日にまとめて届きます。
- 届いた本を、書店の方がブックトラックに並べてくれます。
- タイトルや著者名が入っている簡単な本のデータを、書店からメールで送ってもらって、図書館システムに登録します。
選書
- 選書は通常2人1組で担当します。1日に届く本の数が100冊を超える場合は、3人以上で分担することもあります。
- 届いた本を、おおよそ半分ずつ、2台のブックトラックに分けて並べます。
- 担当者は、自分の担当となったブックトラックの本について、1冊ずつ内容を見たり、Webや図書館システムから著者の情報を調べたりして、収集方針に合うかどうかを検討します。併せて、本に破れや汚れ、乱丁・落丁がないかについても点検します。
- 各々の選書が終わったらブックトラックを交換して、2人目がもう一度別の視点で検討します。
選書会議・購入の決定
- 全ての本について、複数の担当者による選書を終えたら、最終的に買うか・買わないかを担当者同士で確認します。
- 意見が分かれた場合などは、他の職員にも意見を聞きながら判断していきます。
- 買う本が決まったら、図書館システムで「所蔵データの登録」をします。この時点で「準備中」のデータがOPAC(ホームページ上の蔵書検索)に表示されるようになります。
- ここで「資料コード(本に貼るバーコードの番号)」が決まります。
受入装備(うけいれそうび)
- 資料コードラベルを印刷して、本とともに装備作業室に持っていきます。
- 装備作業室では、資料コード貼付のほか、本の奥付に「受入印」を押します。これで、その本が図書館のものであるという印ができました。
- 他の図書館では「ブックカバーフィルム」を貼るところもありますが、都立図書館では保存上の理由から貼っていません。
- 正誤表や付属資料(しおり、小冊子など)がある場合は、資料保全室で和紙を付けて貼り込んでいます。
整理作業
- 受入装備が終わったら、今度は1冊ずつの奥付や標題紙、内容などをみながら「書誌」と「所蔵」のデータを整えます。
- 選書の段階では簡単なデータしか登録されていませんが、整理作業に入るまでには「MARC(詳細な本のデータ)」がシステムに登録されます。このデータと本の現物を突き合わせて、データの修正や追加を行います。
- 本の目次や内容から、その本のテーマを「件名」として登録します。これで、タイトルにテーマとなる言葉が含まれていない本でも、テーマで検索ができるようになります。
- 次に、1冊ずつの「分類記号」を決めます。分類記号は数字で表されます。件名を登録したら、その件名に対応する分類記号から最も適切なものを選びます。そうすると、「請求記号」という図書館内での本の住所が自動的に決まります。請求記号は本の背に貼ってあるラベルに表示しています。
- 以上の作業が終わったら、他の整理担当職員の点検を受け、書誌・所蔵データが完成します。
整理装備
- 請求記号ラベルを印刷して、本とともに装備作業室に持っていきます。
- 本の背に請求記号ラベルを貼付します。ブックカバー付きの本は、本体のデザインや情報を見ることができるように片袖だけ本体に貼付します。
現場へ
- 整理装備が終わったら、中央図書館と多摩図書館のサービス部門(社会科学、人文科学、児童書など、それぞれの分野を担当している係)に本を送ります。
最終点検〜書架へ
- 本を受け取ったサービス部門では、データに間違いがないか、本に破れや汚れがないかを改めて点検します。
- 本のデータを「準備中」から「利用可」に変更して、棚に並べます。ここまで、長い長い旅でした!
- 2外国語資料(洋書、中国語図書、韓国・朝鮮語図書)の場合
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都立図書館で収集している外国語資料には、洋書、中国語図書、韓国・朝鮮語図書があります。ここでいう洋書とは、中国語図書と韓国・朝鮮語図書以外の外国語図書を指しています。
外国語資料の場合、日本語資料と同じように見計らいでも購入しますが、直接書店に本を発注して買うことが多いです。そのため、ここでは発注して購入する場合の流れを紹介します。
選書・発注
- 見計らいと違い、本の現物は手元にないため、選書では主に海外の書評誌や新刊案内をチェックして、収集方針に合うかどうかを検討します。
- この選書作業では、紙の資料・Web情報どちらも利用して選んでいます。
- 購入を決めた本の情報をリスト化し、そのリストを書店に送って発注します。
- 外国語資料は、発注から納品まで1カ月以上と時間がかかります。
納品・検品・所蔵データの登録
- 発注した本が納品されたら、本の状態やプリントに問題はないか、1冊ずつ検品します。
- 海外から輸送しているので、運んでいる間に痛んでしまう可能性も日本語資料に比べて高いです。
- 本文に破れがあるなど、利用に支障をきたす状態の本は、書店に交換対応をしてもらいます。
- 検品で問題ないと判断した本は、日本語資料と同じように、図書館システムで「所蔵データの登録」をします。この時点で「準備中」のデータがOPAC(ホームページ上の蔵書検索)に表示されるようになります。
- ここで「資料コード(本に貼るバーコードの番号)」が決まります。
受入装備
- 資料コードラベルを印刷して、本とともに装備作業室に持っていきます。
- 作業内容は日本語資料と同じです。
整理作業
- 外国語資料も日本語資料と同じように、1冊ずつの奥付や標題紙などを見て「書誌データ」を整えます。
- 外国語資料の整理作業では、日本語資料とは異なる種類の「MARC(詳細な本のデータ)」を図書館システムに登録し、そのデータと本の現物を突き合わせて確認します。
- 全て外国語で書かれていることもあり、日本語資料と比べて整理作業には時間がかかります。
- 整理作業の一つとして、「分類」を付与しています。分類は、本の内容を数字で表したものです。同じ番号の本は似たテーマを扱っている本ということになります。
- また、この段階で「請求記号(本の背に貼ってある3段ラベルの番号)」が決まります。これが、図書館内での本の住所になります。
- 全ての外国語資料の請求記号には、「別置記号(べっちきごう)」と呼ばれる記号を付与しています。別置記号は請求記号の頭に付いていて、洋書には「F」、中国語図書には「C」、韓国・朝鮮語図書には「H」が付いています。
整理装備
- 請求記号ラベルを印刷して、本とともに装備作業室に持っていきます。
- 作業内容は日本語資料と同じです。
現場へ
- 整理装備が終わったら、日本語資料とは区別して、中央図書館と多摩図書館のサービス部門に本を送ります。
最終点検〜書架へ
- 本を受け取ったサービス部門では、書誌データの最終点検をします。
- 本のデータを「準備中」から「利用可」に変更して、棚に並べます。
- 原則として、洋書は分類別に日本語図書と同じ棚に並べますが、中国語図書と韓国・朝鮮語図書は日本語図書と別にして、コーナーにまとめて並べます。
- 多摩図書館のこどものへやでは、洋書・中国語図書・韓国語図書が1つのコーナーにまとまっています。
- 3逐次刊行物(新聞、雑誌、年鑑)の場合
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逐次刊行物とは、同じタイトルの下に、終わりの時期を決めないで、1号、2号などの巻号順(日付順)に、日刊、週刊、月刊など定期的に刊行されるもののことです。逐次刊行物の場合は、納品からできるだけ早くお客様に提供すること、また、欠けることなく収集することが大事です。 今回は雑誌の流れについてご紹介します。
選定
- 購入・寄贈とも、本のように1冊ずつ選ぶのではなく、タイトルごとにその内容や継続性を検討して長期的に選んでいます。あたらしく創刊された雑誌を購入する場合は、別途書店へ創刊号を発注し、その内容を検討して収集するかを決めます。
納品
- 継続して購入している雑誌は、発売されるとすぐに契約している書店から納品されます。都立図書館では契約している雑誌が約3,800誌あるため、毎週月曜日〜金曜日の納品では、毎回およそ100冊が届きます。
- 購入の他に、様々な団体から寄贈される雑誌も、収集方針に合うかどうか検討し、収集しています。寄贈雑誌も毎日届きます。
納品チェック
- 購入の雑誌の場合は、雑誌本体と納品書を照らし合わせて、タイトル・巻号・金額をチェックします。
- 寄贈で届く雑誌の場合は、まず開封し、所蔵している雑誌かどうか確認してから、タイトル・巻号をチェックします。
データ入力(チェックイン)
- 図書館システムで新刊のデータを作成します。タイトル・出版者等の情報を確認し、新刊の巻号を入力します。この時に、巻号がとんでいたりすると、欠号の可能性があるため、すぐに補充の手配をします。
- 巻号を入力したら、そこに中央図書館で所蔵、多摩図書館で所蔵といった所蔵データの登録をします。
- 入力されたデータが正しいか、別の職員が確認します。
装備
- データ入力の際に印刷した資料コードラベルと請求記号ラベルを貼付し、受入印(凹凸の浮き出し印など)を押します。これでその資料が図書館のものであるという印ができました。
現場へ
- 装備が正しくされているか、入力データ数と雑誌の冊数が合っているかを確認します。
- 毎日その日のうちに中央図書館と多摩図書館のサービス部門に送ります。
- 雑誌を受け取ったサービス部門では、装備が正しくされているか確認します。
- 化粧品やペットフードのサンプルなど雑誌を保存するのに不適当な付録がついている場合はここで除去してから、それぞれの棚に並べます。
収集・整理に関すること もっと知りたいときに
B1へようこそ!〜資料準備の現場から〜(収集・整理についてのコラム)
- 資料の収集・整理にかかわる職員が、交代で業務を紹介します。
- 第1回:外からは見えにくい「都立中央図書館の地下」のせかい
- 第2回:収集方法いろいろ(直販、寄贈、既刊書など)
- 第3回:なぜ「ブックコートフィルム」を貼らないの?
- 第4回:都立図書館の「外国語資料」
- 第5回:雑誌の収集と整理
- 第6回:都立図書館の本を選ぶこと
〜こんな本あります〜 "アリスの本の森"
- 過去に収集・整理部門の職員が作成していた所蔵図書紹介コラムです(現在は更新していません)。
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