【イベントレポート】トークイベントin国連大学「未来を拓くグローバルな子育て〜心を豊かにする読書〜」を開催しました。

2025年12月23日

11月8日(土)にトークイベント「未来を拓くグローバルな子育て〜心を豊かにする読書〜」を開催しました。トークイベントの内容や参加者の声をご紹介します。
日時
2025年11月8日(土) 午後2時から3時30分まで
会場
国連大学 5階 エリザベス・ローズ国際会議場
講師
尾木 直樹(おぎ なおき)さん(都立図書館名誉館長)
教育評論家、法政大学名誉教授。中学校、高校、大学の教員として、合計44年間教壇に立つ。愛称は尾木ママ。令和5年4月1日から都立図書館名誉館長。
アグネス・チャン さん (歌手・エッセイスト)
1972年「ひなげしの花」で日本歌手デビュー。長男、次男、三男全員が母校スタンフォード大学に合格して話題となる。現在、ユニセフ・アジア親善大使、日本対がん協会「ほほえみ大使」など、芸能活動のみならず幅広く活躍。
当日の様子
今回は国連大学を会場に、歌手・エッセイストとして国際的に活躍しながら教育・福祉の分野でも長年活動されているアグネス・チャンさんをお迎えしました。
イベントでは、まず、お二人がそれぞれの読書体験について語り合うことからスタートしました。アグネスさんは、幼少期の香港での思い出を振り返り、「本は兄弟で順番に読み回す宝物のような存在だった」と話します。屋台で本を借り、限られた時間で大切に読んでいた経験が、のちの読書好きの原点になったそうです。また図書館は「子育ての頼もしい相棒」として子供が興味を育む場や世界を知る場であるとも語られました。
尾木さんは、読書が子供の心を深く育てることに触れ、「読書は想像力や共感力を育む、大きな力を持っている」と説明。SNSや動画が日常的な今だからこそ、本を通じて文字に触れる時間を大切にしてほしいと呼びかけました。
さらに話題は、「グローバルな教育」に広がります。アグネスさんは、自身の世界各地での活動や子育ての経験を踏まえて、「これからの時代は、違う文化や考え方を自然に受け止める力がとても大切」と語りました。その上で、読書は"世界へ拓く窓"として、異文化への理解や、多様な価値観を受け入れる姿勢を育ててくれるという点において、お二人の意見が一致していました。

子育ての話では、アグネスさん自身が3人の息子さんを育てる中で続けてきた"読書の習慣づけ"が紹介されました。アグネスさんは自分の子供は文字が好きな子にしたい、と思っていたそうで、生まれたばかりの頃から絵本の読み聞かせを始め、2〜3歳の頃にはひらがなを教え、寝る前には必ず本を開く時間をつくるなど、子供たちが文字や読書を好きになるよう様々な工夫をされていたそうです。「本を嫌がるのは、まだ"好きな本に出会えていないだけ"のことも多いんですよ」と、ジャンルにこだわらず、子供が何を好きなのか見極め、子供が好きな本を与えることが大切だと、経験を基に語られました。
また、ゲームや動画に夢中で本を手に取らないという悩みに対しては、「いきなりやめるのではなく、動画から絵の多い本、文字の多い本と、少しずつ橋渡ししてあげるといい」とアドバイス。読書は情報量が多く、想像力やゆっくり考える力も育つため、その良さを自然と感じられるような環境づくりが大切とのことでした。
自己肯定感の話では、「日本の子供たちは日々いろんな競争にさらされていて、自信がなく、自分を好きだと思えない。諸外国の子供達と比べてありのままの自分を認められず、自己肯定の力が弱い傾向にある」と尾木さんが指摘し、アグネスさんも「比べられると心が弱ってしまう」と共感。家庭で"比べない・認める・励ます"を積み重ねることで、子供は安心して伸びていけると、優しく力強いメッセージが届けられました。
参加者からは、「どんな本と出会えば自分を変えられるか」「どうやって読書の時間をつくるか」など、幅広い質問も寄せられました。お二人はそれぞれの経験を交えながら丁寧に答えられ、参加者の皆さんも熱心にうなずきながら耳を傾けていました。
最後は、「読書は大人にとっても子供にとっても、新しい世界の扉を開くひと時。家庭や地域で読書を応援し、未来へ続く豊かな文化を育てていきましょう」という温かいメッセージで締めくくられ、拍手に包まれてイベントは終了しました。

参加者の声(アンケートより抜粋)
<小・中学生の方から>
- 長く続いている名作には学がある。
- おすすめの本を読みたいです。図書館で、面白い本を紹介して欲しいです。
- 今日、聞いたお話の中で心に残ったのは、ゲームのやりすぎに気を付けることです。
<高校生以上の方から>
- 心を豊かにしてもらいました。
- とても参考になりました。孫に(興味がありそうな好きな)本をすすめてみようと思いました。自分もあまり本を読んでなかったので、これからは図書館を利用しようと思いました。参加してよかったです。
- 大切なお話を聞くことができて、とっても幸せです。必死にメモをとって、もう一度、まとめて、また学び、小4の息子と本をよむ時間を増やそうと思います。
- 自分も本を読みたくなりました。
- 普段、来ることのない、国連大学が会場であることに魅力を感じました。真剣に話してくださるお2人に、とても感謝です。涙が出ました。ありがとうございました。
- 単なる子供の教育や本の紹介ではなく、人としてどう考え、生きていけば幸せになるのかということまで考えるコトができたすばらしい講義でした。ありがとうございました。