【イベントレポート】東京マガジンバンクカレッジ「地域を見つめる、地域を伝える~石川直樹の写真ワークショップ~」
2021年2月12日
人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら作品を発表し続けている写真家・石川直樹さんによる、写真ワークショップを開催しました。
昨年度の企画展示「すべての旅は本から始まった。―写真家 石川直樹の世界」、講演会「地球を旅する」に引き続き、東京マガジンバンクカレッジのパートナーである石川直樹さんと協働しての開催です。当日の様子をお伝えします。
ワークショップ 当日の様子
全3回、各回3部構成とし、第1部は講義、第2部は写真集や雑誌のレビュー、第3部は参加者の作品の講評(ポートフォリオレビュー)という内容で実施しました。講師と参加者の対話を通じて、写真についての知識や見方について深めることができたと同時に、参加者一人ひとりの写真に対する思いも伝わってきて非常に有意義で楽しいワークショップとなりました。
参加者からは「石川さんの視点が明快・率直で、講義、ブックレビュー、ポートフォリオレビューのどれも大変参考になった。」「参加以前より比較にならないレベルで写真や写真集に興味を抱くようになった。」「持参した写真集や雑誌の講評では、色々な人の価値観、視点が見られて本当に刺激的だった。」等のご意見をいただきました。
第1部 講義
講師が雑誌や新聞記事等を紹介しながら、写真家としての体験に基づいた写真との向き合い方等について講義を行いました。
第2部 写真集や雑誌のレビュー
参加者の方には、気になる写真が掲載されている写真集や雑誌を毎回持参していただきました。講師が、写真集を持参した理由や入手のきっかけを一人ひとりにインタビューしながら、レビューを行いました。それぞれの写真家や作品の魅力、写真史における意義等について、専門家の視点での解説があり、回を追うごとに写真に関する見方や知識が深まる内容となりました。
第3部 参加者の作品の講評(ポートフォリオレビュー)
各回10名程度にわけて、全参加者の作品(事前に撮影した写真20枚程度を参加者自身が机上に並べたもの)を講師が講評しました。「最初からテーマを決めるとそれしか見えなくなるので、まずはテーマを決めずに何でも撮ってみる」等、一人ひとりに合わせたアドバイスがありました。
資料展示の様子
会場では講師の著書や雑誌記事の展示を行い、休憩時間や終了後に、じっくりと見ている参加者が多くいました。参加者が持参し講師がレビューした写真集や雑誌についても、都立図書館の所蔵資料を活用して、次の回に参考に展示しました。また、展示資料のリストを参加者に配布しました。(左の画像は、当館所蔵資料の展示。右の画像は、参加者の皆さんが持参した写真集など。)
展示資料リスト
特定の地域をテーマにした石川直樹さんの写真集、最近発行された著書や雑誌記事のほか、石川直樹さんが編集長を務める地域誌等をご紹介しました。
■展示資料リスト.pdf(543KB)
参加者の作品
ワークショップに参加した東京マガジンバンクカレッジパートナーがポートフォリオレビューに用いた作品を参考にご紹介します。
井深成仁さんの作品
高瀬敏さんの作品
新型コロナウイルス感染症対策について
新型コロナウイルス感染防止対策として、講師及び参加者には、マスク着用、手指消毒、検温にご協力いただきました。3人掛けの机に一人ずつ着席する、写真の講評の様子を中継し前方のスクリーンに映す等、対人距離を保てるように工夫をしました。また、1時間に1回休憩を入れ換気を行いました。
イベントの概要
日時
第1回 令和2年9月27日(日)
第2回 令和2年11月15日(日)
第3回 令和2年11月23日(月・祝)
いずれも、午後1時30分から4時30分まで 全3回
会場
東京都立多摩図書館2階 セミナールーム
講師
石川 直樹(いしかわ なおき)氏
1977年東京生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。
『CORONA』(2010 青土社)により土門拳賞(2011)を受賞。展覧会「この星の光の地図を写す」(東京オペラシティアートギャラリーほか)など。『まれびと』(2019 小学館)『EVEREST』(2019 CCCメディアハウス)などの作家活動が評価され、2020年日本写真協会賞作家賞受賞。
ワークショップのチラシ(画像をクリックするとPDFファイルが開きます。)(PDF:1MB)
■【イベントレポート】企画展示「すべての旅は本から始まった。―写真家 石川直樹の世界」(2020年1月開催)、講演会「地球を旅する」(2020年2月開催、動画あり)はこちら。