第15弾「雨に唄えば〜苔の世界〜」
2010年6月1日
颯颯と吹く初夏の風が心地よい5月が終わり、入梅も間近に迫る6月になりました。どんより曇空と雨が続くと、気分も鬱々としがちですが、そんな中、水気を好む植物たちは生き生きと、雨露にぬれた緑を輝かせています。今回は、水気を好む植物の代表として苔に着目し、資料をご紹介します。
『苔とあるく』 田中美穂著 WAVE出版 2007年刊
まずは、苔に興味を持つことから始めてみましょう。本書では、倉敷で古本屋を営む著者が、コケ専門家でなくてもできる、コケ探索・コケ観察・コケ採集のいろはを伝授してくれます。
探索をはじめると、身近なところに実にさまざまな苔が生息していることに気づきます。そして、ひとつひとつに、その特徴を的確に、時にはユーモラスに捉えた名前がつけられています。自分の見つけた苔に、どんな名前がつけられているのか気になったら・・・
『フィールド図鑑 コケ』 井上浩解説・写真 東海大学出版会 1986年刊
180種のカラー写真と解説が見開き片面にまとめられておりコンパクト。解説文も、初心者にわかりやすく平易に書かれています。
『日本の野生植物 コケ』 岩月善之助編 平凡社 2001年刊
これまでの日本のコケ研究の集大成と呼べる1冊です。巻頭に総数963種のカラー写真を掲載し、後半には、さらに多くの種について学術的解説があります。
『季節をいろどる草盆栽・苔玉』 田中光洋作品制作 池田書店 2003年刊
『苔盆景入門』 木村日出資著 日東書院本社 2009年刊
苔の魅力をさらに身近で味わいたくなったら、苔盆栽に仕立てて生活の中に取り入れてみてはいかがでしょう。苔園芸の参考に。
家の近所の小道から深山の奥に至るまで、苔はさまざまな所に生息しています。都立中央図書館のある有栖川宮記念公園でも、心を傾けて見ていると、多種多様な形状の苔を見つけることができます。苔むす暇もないほどの勢いで転がる石のように、慌しく過ぎてゆく日常の中で、ほんの一時でも、静かに佇む苔に目を留めて、気持ちをふっと緩めてみませんか。