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第30回 『知の饗宴としてのオリンピック』

平成29年12月5日作成

2018年平昌冬季五輪開催まであと2か月。前回の冬季五輪の復習を、と興味深く読んだのが本書第5章ペトリシェヴァ・ニーナ氏による「公開情報から読み取れるソチオリンピック・期待と結果」です。本書はオリンピックをテーマに、スポーツ科学の研究教育の拠点であり、浅田真央選手他多くのアスリートを輩出する中京大学に籍を置く研究者による学際的なアプローチとして出版された1冊。法学、経済学、博物館学等様々な領域からの分析や提言が簡潔に述べられ、新たな視点や気づきを得られる内容となっています。

氏の論考では、ソチ大会を題材に当時のロシア政府のオリンピック開催の目的と期待する効果を考察し、結果の分析を行っています。大会はソ連崩壊から復活した大国ロシアの威信を国際舞台にアピールする機会だったこと、崩壊で揺らいだ国民のアイデンティティを確立し、国に対する誇りを取り戻すことも目的の一つであり、見事成功したと結論づけています。ソチ五輪は羽生結弦選手の金メダルの印象だけが記憶にありましたが、ロシアにとっては歴史的な意義があり、新しい時代の始まりだったようです。とはいえ、負の結果として汚職、LGBTを含む人権侵害、テロ対策、環境問題等があり、課題が残る、とあります。

トーマス・バッハIOC会長曰く、「何の価値観も持たないスポーツはただの娯楽に過ぎない」。2020年に向け、私たちの街、国そして意識はオリンピズムの理念をどのように受け止め、変貌を遂げようとしているのか、考えさせられる1冊です。

知の饗宴としてのオリンピックの表紙画像

『知の饗宴としてのオリンピック』來田享子他共著 エイデル研究所 2016.12(中央図書館請求記号:780.6/ 5289/ 2016)

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