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第45弾「学びの春。子どもと一緒に、先人の知恵に学ぶ」

2012年4月12日

東日本大震災から1年余。
当たり前だった日常が、一瞬にして失われる現実。
人間がいかにちっぽけな存在なのか、私たちは身をもって体験しました。

新生活がスタートし、新たな学びが始まる4月。
今回は"先人の知恵に学ぶ"をテーマに本をご紹介します。
なぜ私たちは学ぶのか。学ばねばならないのか。
大人も子どもも一緒にお読みいただければと思います。

『学問のすすめ』福澤諭吉著(岩波文庫他)
※大人向け口語訳は『現代語訳学問のすすめ』福澤諭吉著 齋藤孝訳

1万円札の、といえば誰もが知っている福澤諭吉。とても有名で良書なのに実は通読した人は少ない、とあの齋藤孝氏が現代語訳版を大人・子供向けにそれぞれ出版、話題となりました。教科書で必ず目にする「人の上に人をつくらず」の一節は実は諭吉自身の言葉ではなく、アメリカ独立宣言の引用であること、世の中には地位や貧富、賢愚の差はあるが、その差は「人は生れながらにして貴賎貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり」であるとし、世の役に立つ実学を学び、そこから得た個人の幸せや自由、それに伴う権利と義務のあるべき姿を自覚し、よりよい個の延長上には良き国があると、個人と国家、自由と平等について語っています。古さを感じず、これからを担う子どもにぜひ読んでもらいたい熱い一冊です。

『こども「学問のすすめ」』齋藤孝著 筑摩書房 2011年刊

『学問のすすめ 現代語訳』福澤 諭吉著、齋藤孝訳 筑摩書房 2009年刊

『地震雑感/津浪と人間』寺田 寅彦著 中央公論新社 2011年刊

「天災は忘れたころにやってくる」で有名な寺田寅彦は夏目漱石の教え子で物理学者、随筆家。昭和8(1933)年3月の昭和三陸地震(死者1,522名、行方不明者1,542名)後に書かれたエッセイ。明治三陸地震(1896年、死者2万1,959名)から37年後に起きたことから、当時被災した中心的世代(調査や予防にあたった科学者や役人等)が世代交代し、その経験が次の世代に伝わらず忘れられ、活かすことができなかったと指摘。災害を防ぐには人間が過去を忘れない努力をするほかなく、地震大国日本の小学校では年1回1,2時間は地震や津波の知識を学び、災害を予防する教育が必要だと説いています。ちなみに東京については、「安政の経験(1855年江戸安政大地震)を馬鹿にしたため」、大正12(1923)年関東大震災で焼き払われたのだと書かれています。
昭和三陸地震から78年、2世代が経過して起きた東日本大震災。昭和の初めに書かれた科学者の言葉の重みを、今度こそ忘れず次の世代に伝え、次に備えることが私達の世代の責務だと思わずにはいられない一篇です。子どもは岩波少年文庫版でどうぞ。

『みんなを守るいのちの授業 大つなみと釜石の子どもたち』片田敏孝、NHK取材班著 NHK出版 2012年刊

津波による死者・行方不明者数が千人を超す釜石市で、小中学生約3千人は津波から逃れ無事。学校の管理下になかった5人が犠牲となってしまいましたが、"生存率99.8%"から「釜石の奇跡」と呼ばれています。この奇跡を導いたのは群馬大の片田敏孝教授による防災教育。「津波てんでんこ」の言い伝えや津波石の紹介、震災当日の子どもたちの記録とともに「想定を信じるな」「最善をつくす」「率先避難者になる」の「避難三原則」を含む釜石市の防災教育がわかる1冊です。寺田寅彦の説く防災教育の成功例であり、子どもの本ではありますが、資料も豊富で大人にもぜひ読んでもらいたい内容です。「想定外」の震災にも冷静に対応した子どもたちの姿に胸を打たれます。


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