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第69弾「四度目の春」

2015年4月1日

ラジオ福島の300日の表紙画像

東日本大震災から四度目の春を迎えました。
2011年3月11日のあの日、私たちは多くのものを失い、"当たり前の日常"が、決して"当たり前ではない"ことに気づかされたのではないでしょうか。失ったもの、たくさんの気づき、そして考えるこれからのこと。それらを言葉にして、または写真や絵に託して編まれた様々な本を、都立図書館ではこの四年間収集してきました。今回はその中から7冊を選んでご紹介します。

ラジオ福島の300日』片瀬京子とラジオ福島/著 毎日新聞社 2012年刊

本書は、地震発生直後から350時間14分CMカット連続生放送を敢行したラジオ福島の300日間にわたる記録です。前半部分では、3月11日当日、電話もインターネットも満足につながらない中で懸命に行われた放送の様子が克明に綴られています。臨場感溢れる筆致から、ラジオ福島スタッフが逆境の中で悩み、考え、行動した真摯な姿が伝わってきます。

復興人』産業復興支援情報誌プロジェクト委員会 月刊

仙台発、2011年10月に創刊された中小企業支援情報マガジンです。タイトルに示す通り、災害を乗り越えて力強く活動している"人"をキーワードに、ものづくり、産学連携、ウーマノミクスなど様々な視点で特集が組まれています。誌面に登場する人々の生き生きとした姿からは、理不尽な困難にも屈しない、人間の持つしなやかな強さが感じられ、復興を支えるのは"人"である、ということに改めて思い至ります。

百人百話 故郷にとどまる故郷を離れるそれぞれの選択 第1集
百人百話 時は、残酷なまでに立ち止まろうとはしない。第2集
岩上 安身/著 三一書房 2012

著者が立ち上げたインターネット報道メディア"IWJ(インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)"を通じて配信された「百人百話〜故郷にとどまる、故郷を離れる、それぞれの選択」というインタビューシリーズ番組を文字に起し書籍として刊行したものです。第1集が2012年3月、第2集が2014年4月に出版されています。福島で被災した100人それぞれの思いや決断、戸惑い、怒り・・・大手メディアのニュースではこぼれ落ちてしまいがちな、市井の人々の小さなつぶやきに丁寧に耳を傾けたインタビュー集となっています。

面影画 私はここにいます』 黒沢 和義/絵と文 同時代社 2012年刊

2011年6月5日から108日間にわたって陸前高田市内の避難場所「高寿園」で「面影画(おもかげが)を描いた著者のボランティア活動記録です。「面影画」とは、津波で何もかも流されてしまった被災地の人々に、亡くしてしまった親しい人の笑顔を描いて届けたいという思いでボランティアを始めた著者による造語で、本書の前半部分には、そうして描かれたひとりひとりの笑顔の面影画がおさめられています。"自分にできることでボランティア活動をする"とはどういうことか、考えさせられる一冊です。

春を恨んだりはしない 震災をめぐって考えたこと』池澤 夏樹/著、鷲尾 和彦/写真
中央公論新社 2011年刊

作家であり、詩人、翻訳家でもある著者が、東日本大震災を通して考えたことをまとめたエッセイ集。実際に被災地に赴き、現地の風景や人との出会いを抒情的に描く一方で、大学時代に物理を専攻していた著者らしい、現状を冷静に分析した表現も随所に見られ、ユニークな構成となっています。
深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染めに咲け(上野岑雄 古今832)
文中で引用される古歌の嘆きが、2011年の春に重なります。

花咲う 被災地の櫻と復興』青柳 健二/写真,玄侑 宗久/文 廣済堂出版 2013年刊

春が来れば必ず咲く桜。2011年の春にも、桜は咲きました。本書は、2011年の4月に宮城県から岩手県に続く海岸線を北上しながら、その場に咲く桜の姿を写真におさめた写真集です。津波ですべてが流され瓦礫の山となった町で、生き残った桜が雄々しく咲いている姿。満開の桜の下で笑顔を見せる高校生。舞い散る桜の下でお地蔵様に手を合わせる老夫婦。人気のないまま、桜だけが例年と同じ姿でひっそりと咲き誇る南相馬市の公園。写真を通して、2011年の春にもそれぞれの場所で、確かに桜は咲いたのだということがわかります。地震が来ても、津波が来ても、放射線が降り注いでも、季節は巡り、桜は咲く。その確実な、人智を超えた営みがあればこそ、人間は生きていくことができるのでしょう。

ここで紹介した本のほかにも、都立図書館では東日本大震災に関する資料を多数所蔵しております。四年が過ぎた今だからこそ、2011年3月11日のあの日のことやこれからの私たちの生き方について、もう一度考えてみませんか。


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