第73弾「現代の恐竜学 -恐竜と鳥類-」
2015年12月1日
私たちの身近に恐竜が生きていたとしたら。これはSF小説や映画の世界のことではありません。近年の研究により、鳥類が進化した恐竜の子孫である事がわかってきたのです。今回は恐竜の進化や生態に関するテーマを扱った図書をご紹介します。現在の恐竜学の最先端に触れていきましょう。東京都立中央図書館では、生物学に関する資料も豊富に所蔵されています。その中の古生物の分野から、恐竜に関する図書をピックアップしました。
『そして恐竜は鳥になった 最新研究で迫る進化の謎』 土屋 健/執筆,小林 快次/監修 誠文堂新光社 2013年刊
「恐竜は絶滅していない。鳥に形を変えた恐竜は、現在でも私たちの世界に棲んでいる」(本書「はじめに」より)
恐竜の進化の過程をたどり、中生代の恐竜から現生鳥類へいかに進化していったか、その。食べ物、子育て、翼の変化から鳥の誕生まで。恐竜研究の最先端をわかりやすく説明しています。カラーの恐竜イラスト、図版も豊富です。私たちよりも大先輩の恐竜たちを身近に感じましょう。
『大人のための「恐竜学」』 土屋 健/著, 小林 快次/監修 祥伝社 (祥伝社新書 338) 2013年刊
「クビナガリュウや翼竜は恐竜ではない。一方、鳥類は恐竜である」(本文より)
など、恐竜の基本知識から最新の研究成果までを、コンパクトにまとめた大人のための恐竜本。今日における恐竜の今日における恐竜の定義、進化、身体能力、生態やユニークな恐竜などを紹介しています。インターネット上で募集した一般の大人からの質問をに回答するというQ&A形式をとり、わかりやすく説明されています。恐竜の食事から子育てまで、なぜか親近感がわいてきます。
『鳥類学者無謀にも恐竜を語る』 川上 和人/著 技術評論社 (生物ミステリー) 2013年刊
「恐竜は鳥も同然である」(本文より)
鳥類学者である著者の立場から恐竜の進化と生態についてアプローチしている、ユニークな恐竜本。鳥類の進化の観点より恐竜の生態について述べられています。鳥類学者の見た恐竜のすがたとはどのようなものでしょうか。従来の恐竜本とも、また一味違うこの本をお進めします。巻末に主な参考文献と恐竜博図録を紹介しています。
『恐竜 化石記録が示す事実と謎』 David Norman/著 冨田 幸光/監訳, 大橋 智之/訳 丸善出版 2014年刊
(サイエンス・パレット 017)
著者は英国ケンブリッジ大学付属セジウィック地質博物館長で、恐竜学研究の第一人者、特にイグアノドンに詳しい研究者です。本書の特長は、化石の出土する地層の記録の不完全さ、そこに含まれた化石がいかに不完全かを紹介するところから始まり、イグアノドンへの新しい視点をもって、恐竜の進化や生態を復元していきます。上記にご紹介した図書と違う切り口をご覧ください。巻末に参考文献、図の出典、索引があります。
参考
『日本経済新聞』(縮刷版) 日本経済新聞社 2011.2.11(金) 朝刊 社会 p.34
「「鳥の祖先は恐竜」証明 東北大、指の成長仕組みが一致 卵の中分析、論争に終止符」
鳥の翼と恐竜の前脚にある「指」の成長する仕組みが同じであることを、東北大学の田村宏治教授と大学院生の野村直生さんらが突き止めた。鳥が恐竜から進化したとする仮説を裏付ける結果。専門家からは始祖鳥の発見以来、鳥の起源を巡る約150年間の論争に終止符を打つ成果との意見も出ている。研究成果は11日、米科学誌サイエンスに掲載される。(本紙記事より抜粋)
学術雑誌『Science』 American Association for Advancement of Science Vol.331 No.6018(2011.2.11) p.756-756
「Embyological Evidence Identifies Wing Digits in Birds as Digits 1,2, and 3」
(上記の新聞記事で紹介された論文です)
東京都立図書館には、オンラインデータベース『日経テレコン21』(日経4紙記事索引等)や『Science』(英文)もあります。是非ご利用ください。