第74弾「人生を充実し、自由に、愉しむために」
2017年4月1日
『下流老人』(藤田孝典著 朝日新聞出版刊)が、そのタイトルと共に衝撃を与えたように、わが国は世界一の高齢社会を迎えながら、長引く不況、社会保障や医療・介護制度の不安など、様々な課題を抱えています。
ここでは、困難な状況にひるまずに、自分らしく、満足できる老後を送るための知恵を学び取れる本をご紹介いたします。
『初めて老人になるあなたへ-ハーバード流知的な老い方入門』 B.F.スキナー著 成甲書房 2012年刊
20世紀最大の心理学者と評される行動心理学の創始者、ハーバード大のスキナー博士が、自らの老境を冷静に観察した結果の、賢く老いるための実践プログラムを紹介します。
人生の楽しみは日常生活における行動から生じる副産物であり、行動することによってのみ成果が得られるという論理の下、<感覚の衰えとつきあう><記憶力を補う><頭をしっかりと働かせる><やりたいことを見つける><快適に暮らすために>等々に対する具体的な行動を提言しています。
「老いについてよく知っていることが、老年になっても楽しく過ごせる秘訣である」と唱える、全米でベストセラーとなった書です。
『老いを考える100冊の本―いかに老いを迎えるか』 久我勝利著 致知出版社 2013年刊
<老いもまた楽しからずや><老いの知恵袋><よりよく年をとる><老いを科学する><老いの不安>などの章立てで、「老い」を多角的に考えるための、そして老いという未知の領域の道標となる本100冊を厳選し、それぞれの本のポイントとなる言葉を抽出して解説しています。
<老いてますます意気軒昂>の章で取り上げられた人物伝の紹介文を読むと、年をとっても輝き続けることができるのだと勇気が湧いてきます。
今の自分に必要なテーマについて書かれた本に出合えることと思います。
『老い方上手』上野千鶴子ほか著 WAVE出版 2014年刊
老いや死に、当事者の立場に立って取り組んできた各分野の第一人者(樋口恵子、大熊由紀子、上野千鶴子ほか)が、「これから」を自分で決めるための知恵を伝授します。
- 女性がビンボーになる要因を解説、ビンボーばあさんにならない道を探る。
- 認知症を取り巻く状況を具体的に示し、最新の治療にも触れる。
- ひとりでも在宅で死を迎えるために必要な医療環境整備と心構えを考える。
- 終末期医療についての多様な考え方を示し、自分や家族の死の迎え方を考える。
- 現代のエンディングと次世代に向けての新しい葬送の形を紹介する。
自分が満足できる老後を送るために、必要な最新情報とヒント、具体的な対策を届けてくれる老後のプラン本です。
『いくつになっても、脳は磨ける-「アンチエイジング脳」読本』 築山節著 講談社 2014年刊
脳の衰えは年齢的なものではなく、脳を働かせない環境に置くことにより生じると、脳神経外科医である著者は説きます。
死ぬまで体も脳も元気であるために、脳を上手に働かせる「環境」と「冴える脳を守るための心がけ」を示し、具体的に、記憶、集中力、意欲、実行力、解決力、思考力を高めるための「50歳からの正しい脳磨きの方法」が紹介されています。
「アンチエイジングというと、日本人は自分一人で磨くことを好むが、もともと脳は社会で使うためにあり、社会の中で自分を磨くのが正しく、効率的だ」の一文など、新知見も得られることでしょう。
『50歳からはじめる定年前の整理術』 森本幸人著 日本経済新聞出版社 2015年刊
平均寿命が伸び、長くなった退職後の人生を充実させるために、必要な知識、準備、経験などの役立つ情報が掲載されています。退職後の生活は、退職前にどれだけ準備できていたかで決まるそうです。
豊かな生活を送るために、年金、仕事、資産運用、健康、介護、住宅などについて、定年10年前からの準備項目を時系列で解説しています。いつ、何をしたら良いのか確認できるチェックリストも付いています。