第16回 『マラソンと日本人』
平成29年2月20日作成
マラソンの円谷幸吉選手をご存じでしょうか?福島県須賀川市に生まれた彼は、インターハイや国体で活躍し、1964年の東京オリンピックではゴールの国立競技場に2位でもどってきたものの、ゴール直前にイギリスのヒートリー選手に抜かれて3位になりました。次のメキシコ大会でもメダルを期待されていましたが、お正月を故郷で過ごしたあとに「もうすっかり疲れ切ってしまって走れません」と自ら命を絶ちました。この本の「円谷幸吉と東京オリンピック」という章には彼の遺書の全文が紹介されています。「父上様、母上様、三日とろろ美味しうございました」から始まり、家族と囲んだ食事の一つ一つに謝辞を述べています。メダルへの重圧を背負いながら、家族を思う当時27歳の青年の心情に触れてください。
この本は、日本のマラソンを世界に導いた瀬古利彦氏や中山竹道氏などのオリンピック選手やこれからの活躍が期待される川内優輝選手の活躍を紹介しながら、日本人にとってマラソンとは何なのか、近代マラソンの歩みを振り返りながら、スポーツ観の変遷を紹介した一冊です。ぜひご覧ください。