第72弾「オリンピックに参加する」
2015年10月1日
第18回オリンピック競技大会が東京で開幕されたのは1964年10月10日のことです。そして2020年、再びオリンピックが東京で開催されます。アスリート達の素晴らしい活躍が今から楽しみですが、大会は選手だけで成立つものではありません。多くのスタッフやボランティアによって大会は支えられています。2012年のロンドン大会で活躍したボランティアは、実に7万人に上りました。言い換えると、選手として活躍する以外にもオリンピックに参加する機会があるということです。
東京大会という最大のチャンスが間近です。ここでは、オリンピックに参加する方法について提案している図書を紹介します。
『オリンピックボランティアになるための本』インプレスコミュニケーション 2014年刊
オリンピック開催中の日常スケジュール、ボランティアの種類、求められている人材像、必要なスキルなど、わかりやすくまとめられています。著者は、実際に過去のオリンピックにボランティアで参加しており、その体験談からのアドバイスもあります。少し興味が湧いた、参加を検討してみたいという人にとって格好の入門書です。
オリンピックボランティアの活動は2〜3週間という短期間ですが、それまでの準備が大変なことも描写されています。宿泊・滞在先の確保、開催都市までの交通手段の手配、3週間程度の休暇取得も全て自力・自費で行わなければなりません。さらには大会前にトレーニングにも参加する必要もあります。
こうした無償の行為の結果得られるもの、それは「大会をつくる当事者として参加する」というかけがえのない経験なのだと、著者は主張しています。
『2020年東京五輪に参加するために読む本』 日本文芸社 2014年刊
2020年の大会とはいえ、ボランティアの募集開始は16年のリオ大会が終わった頃になる予定だそうです。運営に必要なボランティアの総数は8万人を見込んでいます。ちなみにロンドン大会では7万人の募集枠に20万人以上の応募があり、世界中からボランティアが集結しました。
この本では、ボランティアとして活躍する方法とともに、それ以外でオリンピックに参加する方法についても検討しています。
たとえば聖火ランナー。長野大会では聖火リレースポンサーから一般公募が行われました。各都道府県から1人ずつ、年齢は12歳から77歳までの47人が選ばれています。東京大会では未定ですが、こうした可能性も考えられるということです。
その他、オリンピックにかかわる仕事に就く方法も摸索しています。東京大会に協賛するスポンサー企業に就職するほか、医療通訳、ホテルなどの観光業など、幅広い選択肢が提示されています。
2020年の参加に向けての準備はすでに始まっています。
『Q&Aでわかる!はじめてのスポーツボランティア 4 オリンピック・パラリンピックに参加!』 日本スポーツボランティアネットワーク/監修 こどもくらぶ/編 ベースボール・マガジン社 2014年刊
スポーツボランティアについてわかりやすく紹介している児童向けの本です。
これまでのオリンピック・パラリンピックでは、公式ボランティアの応募最低年齢は18歳でした。2020年東京大会に向けて言えば、2015年現在13歳からスポーツボランティアとして参加する資格があります。
一方、開催地の市民の自主的なボランティア活動など、年齢に関係なく参加できるもの、子どもだからこそ参加できるものもあります。
1998年の長野大会では、参加する国の中から割り振られた相手国と文化的交流を図る「一校一国運動」を展開しました。大会2年前から長野市内の小中学校の一校一校が、相手国の地理・歴史・文化を学び、現地の学校の子どもたちと文通を行いました。そして、いざ大会では、選手村の入村式で選手を出迎え、競技会場には現地の文字・言葉の応援メッセージを持ち応援にかけつました。
2020年の東京大会でも「一校一国運動」が予定されています。
『スポーツボランティア・ハンドブック』 日本スポーツボランティア学会/著 明和出版 2008年刊
最後にオリンピック参加から一歩離れて、スポーツボランティア全般についての図書を紹介します。
日本でスポーツボランティアが注目されたのは1998年の長野オリンピックからです。その活躍はIOC(国際オリンピック委員会)からも高い評価を得ました。しかし、スポーツの分野にボランティアがあることすら知らない人もまだまだ多いことと思われます。この本は、大規模スポーツイベントだけでなく、規模の小さなスポーツ大会や地域のスポーツ活動のボランティアまで、実例を数多く取り上げています。スポーツボランティアを知りたい人、ボランティア活動してみたい人に向けてわかりやすく解説しています。
スポーツボランティアならではの特徴として、「自らも遊びの要素を感じながらボランティア活動を行える」ということがあります。たとえば「応援ボランティア」というものがあります。マラソン大会において、沿道の各ポイントでコース上の仕事をしながら、苦しみながらも完走を目指している一般ランナーに声援を送り励まし続けることもボランティア活動です。自ら楽しみながらのボランティア活動です。
社会貢献をしながら感動をもらい、自己実現に向かう楽しみを得られる・・・それがスポーツボランティアです。